原田泰「中国は北京五輪後に不況突入か? 「五輪不況」「万博不況」の大誤解」『週刊ダイヤモンド』


 北京五輪後の中国経済不況説を、過去の日本の東京五輪(不況突入は事実だが主因は金融引き締め)、大阪万博円高不況が主因でこれまたマネタリーな要因)の事例によって、中国の不況突入説を否定的にみる。


 ただし原田説でも公共投資の過熱が事前に均されていることが東京五輪時の特徴であると指摘し、他方で北京五輪がそうではないという認識をもっているようだ。そのためこの「均し」としては、金融政策ではなく、公共工事などの均等化が景気の安定化に貢献すると見立てている。


 そして「不況感」は国際イベントの後の高揚感の喪失がもたらした思い込みである、というのが原田論説の結論である。ところで五輪や万博よりも大規模な国際イベントであるワールドカップについて去年、僕は『アエラ』の増刊号に書いたが、そこでもワールドカップの後に不況になるというのは実証研究では支持されているが、むしろマクロ経済政策の成否が鍵を握っていると書いたことがある。その意味では基本的に原田論説の主張はよくわかる。


 ただ北京五輪前の景気過熱の予防的政策はまったく効果をあげているようにはみえないのだけれども。