原田泰、河野龍太郎論説in『エコノミスト』

 仕事が累積しているけれども関連しそうなので購入・速読。

 岩井克人佐伯啓思佐和隆光氏らのは軽く流し読み。やはり技術的な点で面白そうなものにどうしても目がいく。その点では河野氏の論説が今回は注目。

 河野龍太郎「テイラー原則が採用されず金融緩和が世界に波及した」という題名だが、昨年夏のサブプライム危機の顕在化をうけてのFRB、ECB、日銀などの利下げ、利上げ中止に注目し、これが過度の金融緩和をもたらしているとするもの。日米欧ともに図表ではゼロからマイナスの実質利子率ですか(日本などはマイナス2近くですけども、そうかなあ。まったく話は逆で、むしろここ1,2年は事実上の金融引締めへの転換を日本が行っているだけで、いまもあいかわらずの不況を招く受動金融政策というのが日本のスタンスでしょうね。そもそもこの河野論説でいくと、日本はいまやインフレリスクが昂じててかなりの利上げが必要じゃないですか?)。

 テイラープリンシプル(インフレの変化に対する政策金利の反応係数1以上)が守られていないのは景気減速を怖れたから。それが新興国への資本流入(自国通貨高圧力)→自国通貨高を嫌い金融引締めできず→金融政策の目的変数に為替レートが入ってしまい、新興国景気過熱→エネルギー・食料品高へ。

 河野氏は今後のシナリオとして、新興国金利引締めスタンスの採用、景気減速などの新興国の経済過熱の終焉(これを指摘するエコノミストは最近、物凄くいる。一例では、松岡幹裕『日経ビジネス』、高田創『週刊東洋経済』の記事など)→エネルギー、食料品価格の修正へ。とのこと。

 原田さんの論説は岩井氏の論説と真逆。前者は投機が商品価格の安定に長期的に寄与する、後者は投機こそ経済を不安定化させるので政府系ファンドの役割重要、というもの。