山形浩生&若田部昌澄『Voice』4月号論説

 山形さんの論説「アメリカの金持ちは借金漬け」は、フィリピンとアメリカの経済格差についての考察を踏まえて、日本の経済格差を考える上でのヒントは「流動性」、つまり階層が固定化しない、ことだと指摘しています。


 ここらへんは安田三郎の『社会移動の研究』を読んでみようと思っています(読む予定のだけどんどん増えるw


 若田部さんの論説は「円安つぶしは筋違い」ですが、これは簡潔な円キャリトレードについての考察になっています。見開きで知見が凝縮しているので、さすがにこれを詳細に紹介するとほぼ全部書いてしまいそうでやばいですが 笑。


 日銀の円キャリートレードつぶしを目的とした利上げ擁護論を批判してまして、為替水準の是正自体を目的とする金融政策は筋違いであり、為替相場の変動は市場にまかせること、さらに中央銀行が行う金融政策がめざすべきなのは国内の物価と雇用の安定化(日銀のいわゆる「安定化」ではない)であって為替の安定化ではない、と指摘しています。


 ところで円キャリートレード自体は、若田部さんもこの論説で指摘していることですが、私もいったい何が問題なのやらさっぱりわかりません(ここらへんの疑問は若田部さんに論説をよくお読みください)。そのため安達さんの『円の足枷』を読むまでは大して興味ももちませんでしたが。


 ただ以下にキャリートレード関連の資料をご紹介します。ご参考ください。

キャリートレードの基本文献中の基本文献?

http://www.frbsf.org/publications/economics/letter/2006/el2006-31.pdf

上記で参照されているデータなどの典拠のひとつ

http://www.bis.org/publ/qtrpdf/r_qt0606b.pdf