弱者のための新古典派経済学第二回

 新古典派経済学の祖のひとりアルフレッド・マーシャルの経済思想について語ります。
http://www.youtube.com/watch?v=LYMPtRuRcQ8

マーシャルの代表作『経済学原理』は翻訳が何種類か出てますが、図書館に置いてあるのは以下の馬場啓之助の訳本でしょう。

経済学原理 1

経済学原理 1

経済騎士道につじては以下の選集の最後の論文参照

また「信頼」の重要性については以下の本が現代的意義からも面白い。

人びとのための資本主義―市場と自由を取り戻す

人びとのための資本主義―市場と自由を取り戻す

「信」無くば立たず―「歴史の終わり」後、何が繁栄の鍵を握るのか

「信」無くば立たず―「歴史の終わり」後、何が繁栄の鍵を握るのか

マーシャルの伝記や簡単な解説書は以下のものが便利。

ケインズ全集 第10巻 人物評伝

ケインズ全集 第10巻 人物評伝

マーシャル (1961年) (思想学説全書)

マーシャル (1961年) (思想学説全書)

マーシャルの労働市場分析については、井手口一夫『マーシャル(経済学者と現代)』(日本経済新聞社)の解説もいいが、以下のものも重要。

マーシャル経済学の体系 (マーシャル経済学研究叢書)

マーシャル経済学の体系 (マーシャル経済学研究叢書)

マーシャルの生きた時代を知るには以下の本

ヴィクトリア時代の経済像―企業家・労働・人間開発そして大学・教育拡充

ヴィクトリア時代の経済像―企業家・労働・人間開発そして大学・教育拡充

最新のマーシャル研究については以下の本がいい。

Alfred Marshall: Economist 1842-1924 (Great Thinkers in Economics)

Alfred Marshall: Economist 1842-1924 (Great Thinkers in Economics)

ももいろクリスマス2013 美しき極寒の世界:西武球場12月23日(2013年ももクロ個人的まとめ)

 ほとんど1年数か月ぶりに、ももクロちゃんたちのライブに行ってきました。まず観客の多さに驚きます。なかなか入場が終わらない(帰りもかなり大変だった)。これだけのライブになると、経済学的な関心がどうしてもでてきてしまいますね。費用構造がどうなのか、とか(笑)。

 ライブそのものの感想を一言でまとめると、感動した! というものに集約できます。特に後半、会場をワゴンや自転車などで駆け回る頃からだんだん「いま会いにいけるアイドル」の本領発揮で、ファンとの祭り感がいやがうえでも高まりました。僕もまさか夏菜子レス(笑)にどきっとするとは思いませんでした。

 これだけの大観衆にどう自分たちの思いをぶつけることができるのか。初期のころとは違って観客も実に多様になってきていて、ファンの大多数の関心をひきつけるフォーカルポイントは何か、ということに問題がなってきていますね。コアなファンが多勢だったときは、夏菜子ちゃんのエビそりジャンプなどいくつかの「ももクロらしさ」が集約していくポイントがありましたが(もちろんいまでも健在ですが)、いまはそれをちょうどぶち壊していき、新しいものに移行していく段階なのかもしれません。

 たぶん本人はそのときそのときの直感でいっているだけなので(笑)、深い意味づけを行うのもなんだとは思いますが、面白い問題提起もありました。国立競技場2daysが公表されたときに、百田夏菜子ちゃんがファンにいっていたように「モノノフさんたちがついてこれなくなるほどのもの」を彼女たちが追い求めていること、ファンもそれを待ち望んでいることに、このももクロちゃんたちの活動を契機にする「多様性を超えた何か」という問いの方向があるんでしょう。

 「いま会いにいけるアイドル」から「いま会いに行けるスター」になったももクロちゃんたちの活動を僕はできるだけ見届ける覚悟でいる。

2013年のこのブログでのももいろクローバーZ関連のエントリー
ももいろクローバーZ「GOUNN」:多様性をいかに超えるかの問いhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20131121#p1
ももクロちゃんらしくてオッケイ!(古市憲寿ももいろクローバーZ
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20130816#p1
田中秀臣×勝間和代『やる気の出る経済学〜「アベノミクス」から「ももクロ」まで〜』http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20130604#p1

石原吉郎とサカナクション

NHKサカナクションの番組をみて、ボーカルの山口一郎氏が石原吉郎の詩に影響をうけたことを知って、この名前だけは昔から知ってても読んだことがない詩人の作品を読んでみた。
http://www.nhk.or.jp/songs/archive/130427.html

同時に石原吉郎シベリア抑留をテーマにした畑谷史代氏の『シベリア抑留とは何だったのかー詩人・石原吉郎のみちのりー』も読んだ。書中に知人の梶谷懐さんが引用されていて驚いた。

石原の詩における「連帯」と「孤独」。自分の分配を増やすことは誰かの分配を奪い排除すること、といった価値観は、清算主義への孤独な自覚ともいえる。

石原吉郎詩文集 (講談社文芸文庫)

石原吉郎詩文集 (講談社文芸文庫)

シベリア抑留とは何だったのか―詩人・石原吉郎のみちのり (岩波ジュニア新書)

シベリア抑留とは何だったのか―詩人・石原吉郎のみちのり (岩波ジュニア新書)

文月悠光『屋根よりも深々と』

 少し前になるが、文月さんから頂戴したもの。何度か気になる作品は繰り返し読んだ。アマゾンの書評に誰もまだレビューを書いてないのが不思議だが。

 後半に収められた「抜け落ちる髪、生かされる私」は面白い。いや、別にハゲをよんだ詩ではない。本のページに抜け落ちた髪の毛をはさんでいく詩。これをやってた同級生がいた。いまは発狂し消えた。

屋根よりも深々と

屋根よりも深々と

常見陽平『「就社志向」の研究ーなぜ若者は会社にしがみつくのかー』

 常見さんの日本の雇用システムと就職活動、このふたつの切り離せないが、とりあえずは別々の側面を具体的なデータと事例をもって分析した、日本社会論となっている。

 まず最近の若者の会社に長期に就社する状況を説明し、また「新卒一括採用」というシステムが経済合理性をみたすものであることを指摘する。そして若者の就活の状況をさまざまな側面から論じている。その上で学生の「就活」が経済的にはムダだという意味で「悪」であると断定する。学生の就活が悪なのは、彼等が就活を「受験競争」(客観的な基準による判断)と同じものだと誤解していることから生じる。これは正しい指摘だろう。また内定後の理想の配属先を求めて活動する学生たちの「配活」の指摘は面白い。

 

『大田堯自選集成1 生きることは学ぶこと(教育はアート)』

 編集部から頂戴しました。ありがとうございます。

生きることは学ぶこと 〔教育はアート〕  (第1巻) (大田堯自撰集成(全4巻))

生きることは学ぶこと 〔教育はアート〕 (第1巻) (大田堯自撰集成(全4巻))