フィリピン経済:コロナ前の高い成長と貧困率の低下、ドゥテルテ大統領の中国寄り姿勢のもたらす域内不安定性

フィリピン経済のメモ。

世界銀行の近時の展望的評価がいい。DeepL翻訳そのまま添付。質の高い労働力に裏付けられ、高い成長率を実現して、また貧困率や経済格差の緩和も成し遂げていた。しかしここでも新型コロナ危機がその勢いを現状とん挫している。ただ私見では、それは一時的な気がする。コロナ対策では、適切な財政支出が行われている。経済の制約付きの再開に伴い、感染による死者数が最近急拡大している

www.worldbank.org

以下、DeepLでの直訳。

フィリピンは、東アジア太平洋地域の中で最もダイナミックな経済圏の一つです。都市化の進展、中産階級の増加、大規模かつ若年層の人口増加を背景に、フィリピンの経済のダイナミズムは、活発な労働市場と堅調な送金に支えられた強い消費者需要に根ざしています。ビジネス活動は、ビジネスプロセスのアウトソーシング、不動産、金融・保険などのサービス産業で顕著な業績を上げており、好調です。

健全な経済ファンダメンタルズと世界的に認められた競争力のある労働力が成長の勢いを強めています。2001年~2009年の平均年率4.6%から2010年~2019年の平均年率6.4%の成長を維持しており、2018年の一人当たり国民総所得が3,830米ドルの低位中所得国から、近い将来には上位中所得国(一人当たり所得が3,956米ドル~12,235米ドルの範囲)への道を歩んでいます。

2019年の実質経済成長率は鈍化したが、前年比6.0%と堅調に推移した。貿易、投資、観光、送金、社会的遠距離化(関連するコミュニティの隔離を含む)の減速を通じたものを含め、COVID-19(コロナウイルス)の発生の影響により、今年は成長が大幅に減速すると予測されています。

とはいえ、世界情勢が改善し、公共投資のモメンタムと2022年の選挙関連支出の後押しにより、国内活動がより強固なものとなり、経済成長は2021年から2022年にかけて徐々に回復すると予想されています。

近年、フィリピン経済は、貧困率ジニ係数の低下からも明らかなように、包括的な成長の実現に向けて前進してきた。貧困率は2015年の23.3%から2018年には16.6%に低下し、ジニ係数は同期間に44.9から42.7に低下した。家計所得、特に低所得層の所得にプラスの影響を与えると期待される実質賃金の増加傾向は、COVID-19の影響によって妨げられ、フィリピンの貧困削減にもマイナスの結果をもたらす。

ドゥテルテ大統領のキャラが濃すぎて彼の発言が、やはり注目を集める。新型コロナ危機でもその傾向は同じである。

www.newsweekjapan.jp

 

数年前に地政学と経済学の交差する領域で以下のような論説を書いた。これは産経新聞にも転載されている。

ironna.jp

 

ドゥテルテ大統領の中国よりの姿勢は、最近でも国内外で懸念されていて、去年夏の習近平主席との対談では、ハーグの常設仲裁裁判所の判断(中国には歴史的に南シナ海の該当地域に関する権利の法的根拠なし)を脇に置けば、南シナ海での開発利権をフィリピン側に有利なように譲渡すると提案されたとする報道があった。これをされるとマレーシア、ベトナムが不利になり一気に南シナ海情勢が不安定化するだろう。実際にこの問題のその後の進展はない。しかし中国側は公式にこの提案は認めていないものの、ドゥテルテ大統領の親中国よりの姿勢の不安定性を示している事例だろう。

比ドゥテルテ「中国が南シナ海開発で権益6割譲渡を提案」 仲裁裁判断無視が条件 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 

直近の詳細なフィリピン経済のGDP統計についての解説は、以下の解説がいい。

https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=64397?site=nli