期待のコントロールが重要:日経経済教室のエミ・ナカムラ論説などから

現在SNSなどのタイムラインや論壇の状況は、90年代初めのバブル崩壊直後に似てる。
率直にいってバカか、または日本型構造改革派(財政政策だけ強調している人たちはやがてここに落ち着く)が勢いがいい。本当に戻ったな、という印象だ。僕はその時代、院生でバーナンキの論文を読んだり、期待コントロールの論文書いてた(笑。いまとたいして変わらない。それだけ日本の経済は停滞を続け、そして同じ政策=期待コントロールが必要だということだ。

 

片岡審議委員のことをこの直前のエントリーで書いたが、期待コントロールが重要であることは今こそさらに問われなければいけない。

 

エミ・ナカムラ氏の経済教室の記事にも期待コントロールの最新版の話がある。ナカムラ氏はミクロデータを利用して政策当局の長期期待コントロールの重要性と、(バローの弟子らしい?)総需要改善による失業率の低下がほとんどインフレ率に影響しない事を指摘していて興味深い。

 

インフレ率の決定要因 政策転換、長期期待に影響
エミ・ナカムラ カリフォルニア大学バークレー校教授

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO56709260S0A310C2KE8000/

 

このエミ・ナカムラ氏の発言を、リフレ派的援用すると(笑)、先日の片岡剛士日銀審議委員の反対意見の注2の意味がよくわかるだろう。そこの消費減税に異様にこだわる人や財政政策しかみないで国民民主党大好きな人たちには一生わからない次元かもしれないが(笑。

 

あと失業率は(新型コロナ危機の前には)確実に低下してたし、またその失業率の低下による経済厚生の損失回避(あるいは人的資本の毀損回避)については、特にエミ・ナカムラ氏の経済教室の論説では言及してないだけで、意味がないわけではない(重大な意義がある)。

 

エミ・ナカムラ氏の経済教室論説すら理解ができないどころか、90年代初めの「財政政策だけいけいけ」みたいな低レベルに陥った日本のネットの大半、ましてやマスコミやワイドショー民、政治家たちをみると、日本の経済政策観の大停滞はもはや手の施しようがないのではないか。欧米の議論に半世紀遅れ