経済政策のターゲットは低所得層か中間層か?

twitterで書いたことのメモ

 

日本の経済的不平等を表すジニ係数相対的貧困率ともに13年以降2019年までは改善。その主因は雇用の改善(原田泰ほか指摘)。コロナ禍で所得階層下位40%が年収を減少させてジニ係数が若干上昇(浦川邦夫氏指摘)。主因はパート、アルバイトなど非正規雇用の長期的悪化。また旅客、飲食など業態で明暗。

 

補正予算に中間層への支援が薄いという会田卓司さんの指摘だが、むしろ低所得層への支援が課題。1)低所得層への給付はワンショットの効果は限定的(浦川推計)→低所得層に絞った持続的対応、2)非正規長期失業へのセーフティネットの欠落→求職支援などの拡充。3)雇用改善の景気刺激策の拡充重要。

 

1)を読み下すと、一律給付金は一回だけでは低所得層の平均年収の改善にわずかしか寄与してない。そのため給付金フレームでやるなら持続的な給付(安田洋祐案のようなもの:知らない人はググれ)が重要か、2)の提案のようなセーフティネット社会保障の制度的拡充で対応すべきだ。

 

2)を読み下すと、長期失業者が20万人近く前年同期比で増えている。雇用保険のカバー外が多い非正規の人たちが飲食・旅客などで失職し、広義の失業(未活用労働指標4:これわからない人はぐぐれ)もやや低下したがコロナ禍前を上回り、(長期に)働く場に戻れていない。セーフティネット拡充が重要。

 

3)は1)と2)をマクロ経済的に包括する意味で重要だが、今回の補正予算が不足しているのはデータからいっても中間層支援ではなく、低所得者層への支援につながる“マクロ的な景気刺激”の部分である。もちろん中間層(だけではない)の方もさらなる平均所得上昇にもつながる。

 

要するに、コロナ禍の影響に限定すれば、低所得層の困窮にほぼ尽きる。その解決策は、ターゲットを絞った財政政策と金融緩和の継続。

 

この一連のスレッドはいままで書いたことの繰り返しで、僕なら本でいえば高橋さんとの『日本経済再起動』が未だにほぼ全部通用する話。最近では、原田泰さんの『Voice』12月号論説、そして浦川氏の以下の論説を参照
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0529W0V01C21A1000000/