稲葉振一郎『銀河帝国は必要か?』

ご恵贈頂きました。ありがとうございます。本書は『宇宙倫理学入門』の諸論点をかなりわかりやすく解説すると同時に、アシモフの一連の作品を中心的な素材にしている点で作品論としても面白い内容です。

個人的にはアシモフの作品論はもっと刈り込んで簡潔にできたと思います。あとこの本、誰が読むのか、その読者層がいまいちわからず 笑 僕らみたいなSF好きが対象ならわかりますが、SFをしらない層にはかなりハードル高そうです。まあ、ちくまプリマー新書も岩波のジュニアもわりと高度な内容のものに名著が多いですが。

 

今日の監視社会化の問題との類似性、あるいは「心」とは何か(本書では「動かないものに心はいらない」という論点もあり刺激的です)、または距離の暴虐の中での人類文明の在り方についてなどこちらは異文化の「こころ」の距離とも解読可能かと思いますが、いろいろ面白い本です。

 

銀河帝国は必要か? (ちくまプリマー新書)