トルコ経済についてメモ書き

おはよう寺ちゃんや、またtwitterでつぶやいたことに加えて、参照にしている論説や資料などのリンク。

 

トルコ発の経済危機説は、僕はいまの世界株価の騰落に一喜一憂すべきではなく慎重にみるべきだと思ってます。寺ちゃんでも話しました。トルコのリラ安、インフレの進行は、トランプ政権の今回の制裁の前からで、その原因は現政権の景気過熱の放任にあります。これ日本の第一次石油ショックと同じ構造。日本の第一次石油ショックも中東の政治情勢とそれによる石油輸入減少の見込みが引き金になって高いインフレを招いたというのが俗論でありますが、そうではなくその前から政府と中銀の政策スタンスが景気過熱を招くものだったことが原因です。

トルコ経済の国内政治とその経済政策の在り方が問題であるならば、エルドアン大統領の政権がすべきことは、従来の財政政策の在り方を転換することが重要でしょう。ただし現状ではそのような姿勢はあまりはっきりしたものではないですね。ちなみにトルコ中銀はインフレ目標5%ですが、日銀とまったく逆ですがw、10数%のインフレですので「失敗」してますね。

 

リラの暴落がこのまま続き、さらに金利が急騰して高止まりすると、実体経済にも悪影響がでてくる可能性が高いですね。つまり高インフレと経済停滞というスタグフレーションの出現確率が高まります。現状はエルドアン大統領ではないですが、実体経済はそんなに悪くない。

 

ところで政府の財政が「危機」的状況になれば、IMFへの救済シナリオも現実味を帯びてきて、欧米の経済学者はそれをいまの段階で進める人もいますね。と同時にIMFには米国の力が大きいのでトランプ政権への忖度で救済をおしとめる政治的なものが働くおそれを指摘する人もいました。

トルコ:通貨リラと国債下落、IMF救済や資本統制の観測も - Bloomberg

 

 トルコ経済の展望については以下を参照

OECDの展望論文

http://www.oecd.org/eco/surveys/Turkey-2018-OECD-economic-survey-overview.pdf

 

シンクタンクのレポート

混迷を深めるトルコ経済・金融情勢 - 野村アセットマネジメント

http://www.nomura-am.co.jp/market/news/20180807_5EF666DA.pdf

トルコ大統領選前倒しの背景にある経済の悪化 - 三菱UFJリサーチ

http://www.murc.jp/thinktank/economy/analysis/research/report_180423.pdf

 

トルコ経済についての書籍は以下のものが新しいです。トルコ経済は現時点のGDPは世界17位で注目を集めていることは事実です。

 

Turkish Economy: Between Middle Income Trap and High Income Status

Turkish Economy: Between Middle Income Trap and High Income Status

  • 作者: Ahmet Faruk Aysan,Mehmet Babacan,Nurullah Gur,Hatice Karahan
  • 出版社/メーカー: Palgrave Macmillan
  • 発売日: 2018/04/16
  • メディア: ハードカバー
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