木下龍也&岡野大嗣『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』(ナナロク社)

 版元から頂戴しました。小説、漫画、そしてこのような歌集を頂戴できるのはとても光栄でうれしいです。この歌集はふたりの高校生にふたりの歌人が成り代わり、そして夏の七日間を歌ったものです。そこにまだ読んでませんが、小冊子で舞城王太郎氏のスピンオフ小説が付録で挿入されています。

 短歌とはいえ、事実上のストーリーともいえるものを持っている作品なので、ネタばれ的なことになるのでまずは読まれたほうがいいでしょう。目と頭が冴える一瞬を共有できる短歌集です。七日間の構成ですが、ひとつひとつの歌がそれ自身完結した物語性をもっていて、読むものの想像力を刺激します。匂いや感触といった五感の鋭敏さをとくに意識した作品が多く、「高校生」とはまず自分の体との距離が近いがゆえに悩む存在でもあったことを思い出します。

 素晴らしい作品ではないでしょうか。

玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ

玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ