丹野忠晋『経済数学入門 初歩から一歩ずつ』(日本評論社)

 献本していただきました。ありがとうございます。丹野さんは名著『エコノミスト数学マニュアル』の翻訳で名前を存じ上げていました。今回の本はそれとは異なり、高校の文系出身の学生が1から数学を学びなおしつつ、現在の大学の多くで教えている経済学の基礎を理解するための最小限の経済数学の知識を得ることを目的にしています。

 教育的にとても価値のある貢献で、日本評論社のこの種の経済関係の入門書の伝統をきちんとうけついだ良書になっています。薄いことや、またカリキュラムで用いる際の指針も詳しく書いてあって参考になります。特にトップ校以外で教える際には、ともかく一冊で短く、かつその本だけで完結するスタイルのテキストがふさわしく、その意味でも本書は大いにおすすめです(詳細な回答はウェブにありますが簡易回答が掲載されているのはいいことだと思います)。

 もちろんまだ教育の場で本書を使ってはいないのですが、試してみたい気持ちになっています。やはり多くの学生は専門家になるわけでもなく、また数学が得意でもないので、繰り返しますが本書のように配慮のきいた自己完結型の薄いテキストは、教育の場では大助かりの一冊となるでしょう。

経済数学入門 初歩から一歩ずつ

経済数学入門 初歩から一歩ずつ