浜田宏一イェール大学名誉教授の主張を理解するためのブックガイド

 ネットに転がっている動画、音声、インタビューの断面だけを消費して、浜田宏一先生(だけではなくすべての論者)の主張を理解している気になっていると、とんだ誤解の罠にはまることになる。そしてその種の罠にはまる人間ほど、いったん罠に陥り誤解に染まるとそれを訂正するすべに乏しい。そしてだんだんとわけのわからないトンデモと無知の世界の主になる。そんな無知のモンスターになることを避けるために、書籍ベースで以下に浜田宏一先生の主張を手軽に読めるものを紹介します。ぜひ読んでください。

 浜田宏一先生の最新の金融政策を基軸にした経済政策論が読めるのが以下(『激論 マイナス金利政策』)アベノミクスの成果、金融政策の転換とその効果が目覚ましいことを簡潔に発言している。マネタリズムの世界観が日本経済を20年の停滞から救った、ヘリコプターマネーもモデルから出てくる、とのことです。まだ発売前ですがぜひご一読のほどを。

激論 マイナス金利政策

激論 マイナス金利政策

 そして以下は安達誠司さんとの共著(『世界が日本経済をうらやむ日』)で、特に第六章「「貨幣が経済に効くか否か」には250年の歴史がある」には、浜田先生の貨幣についての経済思想が濃縮されている。他の章は、財政再建や将来不安払しょくなどとなんの実体も伴わない消費増税路線への批判、アベノミクスの第一の矢=金融政策の効果の解説など、いわば浜田宏一先生の日本経済に関する経済政策観がフルで呈示されている。

 このクルーグマンとの対談本(『2020年世界経済の勝者と敗者』)は、日本経済、米国経済、ヨーロッパ経済(ユーロ圏、イギリス)、中国、新興国などの経済事情を、経済学の巨人同士の率直な対談と、洗練された編集の力で生み出した、上記の書物の副読本ともいえるもの。いわば最新の応用編。

2020年 世界経済の勝者と敗者

2020年 世界経済の勝者と敗者

アベノミクスの意義をその政策顧問がはじめて簡潔に書いたものとして、当時大ベストセラーになったもの。それの文庫本。補遺もあって読みやすい一冊。

浜田先生の文化論・教育論とでもいうべきもの。知的エリートをいかに育てるか、そこからみえる国際社会、アメリカ社会の縮図。

グローバル・エリートの条件

グローバル・エリートの条件

TPPについての簡潔な一冊

アベノミクスとTPPが創る日本

アベノミクスとTPPが創る日本

浜田先生ははじめからインフレ目標政策の支持者ではなかった。その思想的転換がよく説明されているもの。アベノミクス前のリフレ派の奮闘努力の成果でもある。

伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本

伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本

理論的なベースはこの本に収録された岡田靖さんとの共著論文を読むこと

デフレ経済と金融政策 (バブル デフレ期の日本経済と経済政策)

デフレ経済と金融政策 (バブル デフレ期の日本経済と経済政策)

以下の岩田規久男先生の本にそのエッセンスが解説されている。

国際金融入門 (岩波新書)

国際金融入門 (岩波新書)