置塩ー柴田定理などの貢献で戦前の日本経済学の代表者のひとりであった柴田敬の初めての本格評伝である。いままで知られていなかった戦後の政治活動・学内政治的な活動なども丹念に紹介し、また戦前の国際的な活躍についても大きく紙数を費やして解説している。
本書の主眼のひとつは、副題にあるように柴田の業績を「資本主義の超克」という観点からとらえるものである。それが今日の視点からみたらどう評価できるのか? 参考にすべきものが柴田にあるのだろうか。残念ながら本書を読んだかぎりでは、柴田の現代的な意義はくみ取ることはあまりできなかった。ただし経済思想史研究としては冒頭にも触れたが一級の貢献である。いずれ丁寧に評してみたいと思う。
- 作者: 牧野邦昭
- 出版社/メーカー: 日本経済評論社
- 発売日: 2015/04/02
- メディア: 単行本
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