福田恆存の名著『人間・この劇的なるもの』を現代のアイドル論として再解釈して提示する、中森さんの意欲作です。今回の河出書房新社の特集本に寄稿・再録された中では、片山杜秀氏や西部邁氏と並んで興味深い内容でした。アイドルの「自己の宿命」を生きるという意味での「自由」論や、アイドル現場での「儀式的なるもの」への言及など、福田の現代的再生として面白いと思いました。
ところで福田のこの『人間・この劇的なるもの』は、中島岳志によっても保守思想を学ぶためのブックリストの筆頭にあげられていましたし、また西部邁氏の福田論を読んでも、日本の保守主義における福田の貢献を考えることは重要だと思いました。一度は読んでみるといいかもしれませんね。

- 作者: 河出書房新社
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2015/05/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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