古谷経衡『草食系のための対米自立論』

 献本頂きました。ありがとうございます。

「自分で決め、自分で実行し、自分の意思を表明することに慣れていない日本人は、初めての場面に直面して震えている。この、下を向き、ぼそぼそと小さい声でしゃべりながらも、何かたぎるような衝動をうまく形にしようともがいている、まるで童貞を捨てる一歩手前の日本と日本人の状況を、私は政治的「草食系」と呼ぶ」(本書19頁)。

 本書の政治的草食系の定義は以上のようですが、対米従属についての沖縄基地問題シン・ゴジラを通した比喩としての日米関係、そして3.11にみえた米国の行動原理などを、古谷さんの実証と思索を兼ね備えた論法で解き明かしていきます。

 個人的には日米の安全保障は経済的な側面で考えるべきことが多いと思っていますので、そこを今後補強してもらえたらな、と思いました。経済学者では西部邁氏や佐伯啓思氏、そして宇沢弘文らの対米従属論がありますが、それらとの対比も今後、自分なりにしてみたいといま思っています。

草食系のための対米自立論 (小学館新書 ふ 5-1)

草食系のための対米自立論 (小学館新書 ふ 5-1)