14日のトークイベントでも少しだけ話題になったSEALDs(シールズ)。PIPの空井さんはよくわかっていなかったみたいだけど、「自由と民主主義のための学生緊急行動」の英語の略称で、数名の学生が中心になり、安保法制問題を契機に国会前デモをおこない、社会に非常に注目された若者たちのことである。活動の来歴などは、高橋源一郎氏らの対談に詳しいのでそれを読まれたい。
またSEALDsなどの国会前デモを、かっての反原発をテーマにした高円寺デモのアナーキーさにくらべて、より「動員」色の強いものとした指摘を行ない、同時にその音楽性にも注目した矢野利裕さんの論説は必読。
さらにSEALDsなどの国会前デモが本当に若者中心なのかに懐疑的な見地から、それを実際に見聞で明らかにした古谷経衡さんの論説は、同グループがまわりの大人たちの思惑で消費されてしまう危険性を指摘していた。
ちなみに同運動のHPにある経済論めいた文章を以前読んだが、具体性もあまりないスローガンだけのものであった。
ところでその古谷さんとSEALDsの創設メンバーである奥田愛基氏との対談は、微妙に話が食い違い、お互いの主張を言い放しになっているところが多いのだが、とても興味深く読んだ。反原発デモと保守派のデモがちょうど2011年以降に活発化していき、保守派の方は安倍政権の登場とともに急速に終息した感があった。その一方で、古谷さんは保守派のトンデモ陰謀論の数々がネットなどで流布するようになった事態を問題視している。これは古谷さんの新著で、保守派だけではなく、左派についても(むしろ書籍では左派の方に厳しい)言及している論点である。
運動のスタイルの点で、古谷さんは保守派にはない斬新なものを認めている。これは上記の矢野論説でも共通して指摘されているところだろう。
確かに保守派の運動スタイルは負け、また国会前の動員でも保守派より多いかもしれない。ただこの対談ではふれられていないが、SEALDsの運動が世論の支持を大きくうけたとはとてもいえないのは、最近の世論調査における内閣支持率などの動向をみても明らかである。対談でも「戦争法案」などの中味を伴わないスローガンについて、古谷さんが批判しないかと思ったが、まあ、それは僕が他人任せではなくこのところずっとやっていることでもある。
ちなみに高橋氏らの著作は、同グループの活動の由来などを知るには便利であったが、それだけであった。
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