中森明夫ロングインタビューin『週刊読書人』4月24日

 ニコニコ超会議のときにすでに読んでいてそのときにも少し話題にしましたが、ここでの紹介が遅れてすみませんでした。

 中森さんの『寂しさの力』(新潮新書)の出版とその後の高い評価を背景にして行われた二ページにわたる長大なインタビューです。中森さんが同作で文体を変えたり、また内容的にも自分の過去を振り返ることで、未来の読者にむけて書いたという執筆動機が詳細に述べられています。

 中森さんの新作「文芸編集者」や『寂しさの力』自体の感想をこのブログで書いてきましたので、最近の中森さんの「挑戦」には僕なりの理解を深めていて、またニコニコ超会議でもご一緒できた中で、中森さんの業績というのは、「プロに教える先生」なんだな、という気持ちを抱いてます。

 本来、経済学者でもプロになれば一人前ですから、「先生」というのは敬称以外のなにものでも実はないと思います。しかしどの分野にもまれに、プロがその都度教えを乞うたり、またいろいろ知識を教えてもらうことができる「先生の先生」とでもいうべき存在がいるのです。中森さんはアイドル評論でも、また文芸の世界でも少なくとも僕にはそのような稀有のひとりに思えるときがあります。

 このインタビューでも随所に直観と知識両面で得ることが多かったです。ああ、そうか「リンクする文学」(中森明夫『午前32時の能年玲奈』)はそう読むのか、など示唆されるところもまさにその一部でした。

「リンクする知というのかな。今の人たちは、何かひとつ与えたら、ネットで検索していろんなものを繋げる能力には長けている。でもその最初のきっかけがないから、それは先行世代がなげかけることができるんじゃないか」

 書店にバックナンバーなどあればぜひ購入しておいたほうがいいと思います。