このエントリーでも言及したちくま新書の一冊。猪木武徳先生が推薦されてるので興味があって読む。タイラー・コーエンが『フレーミング』(原題は『情報喰いの時代』等)でも話題にしていた、「自閉症の認知的側面」にも関連していると思ったからでもある。
とても読みやすく、「自閉症スペクトラム障害」の基礎的な知識の習得に役立つ。人の多様性や、またなによりも「社会」とのかかわり方が違うことがその多様性の根幹なんだな、ということに改めて気が付くことができる。例えば、イギリスとシンガポールの自閉症児と定型発達児の比較実験で、西欧と東洋の文化的な違いが検出できている可能性がある、など刺激される話題が多い。また遺伝と環境という古典的な二分法では簡単に理解できない様々な現象から、人間という存在の不思議さを再確認できる。
実際の症例の判定やその「重さ」や療法については、専門医の診断が絶対に必要であることもわかる。自閉症スペクトラム障害のほかの文献も読んでみたい。
自閉症スペクトラムとは何か: ひとの「関わり」の謎に挑む (ちくま新書)
- 作者: 千住淳
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/01/07
- メディア: 新書
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