いま店頭に出ている『週刊現代』のアンケート特集「決定! 日本の名曲ベスト100」に協力しました。本誌で紹介されている僕のコメントは矢沢永吉の「時間よとまれ」で49位にランクインしてました。
アンケートには20曲選んだのですが、他の方のコメントなどの都合で1曲しか紹介されてないので、以下では僕の選んだ20曲(意識的に70,80年代中心です)をその理由も書いてみました。ご参考までに。
1位(曲名: 時間よとまれ 歌手名:矢沢永吉 )
理由 NHKのキャロル解散のドキュメントで見た日比谷野音の燃えさかるセット。その映像は、僕にとっての安保闘争やあさま山荘事件の時代の記憶と重なる。その先に出てきた矢沢のこの音楽は時代=時間の流れを永遠に断ち切る鮮烈なメッセージに聞こえる。
2位(曲名 巴里にひとり 歌手名: 沢田研二
理由 沢田研二ほど60年代から80年代前半にかけて時代を象徴した歌手はいない。現在、グローバル化が言われて久しいが、沢田が70年代にフランスを中心としたヨーロッパで長く人気を保った偉業を忘れてはいけない。原曲はフランスで大ヒットしたものの日本版
3位(曲名:Kiss in the Dark 歌手名: ピンク・レディー
理由 阿久悠はピンク・レディーをアメリカ文化に対抗するため日本式のディズニーランドとして実現すると野心した。その野望は、ピンク・レディーの全米三大ネットワークでの冠番組となってピークを迎える。前人未到の戦後歌謡曲の壮大なる頂点。
4位(曲名: 挽歌 歌手名: 由紀さおり )
理由 21世紀、まさかの由紀さおりの全世界的なスマッシュヒット。そのアルバムは彼女の60年代からの名曲を、「日本的テイスト」をそのままに、世界に届けるものだった。日本の歌謡曲に秘められた「世界性」を展開させた彼女の実力はこの曲にも鮮烈。
5位(曲名: 帰れない二人 歌手名:井上陽水)
理由 「心もよう」「傘がない」そして本曲など、その歌詞の象徴的な身振り、めまいをひきおこす旋律。中学時代に初めてきいた陽水の音楽は、まさに僕の少年期のたゆたう羊水(陽水)からの脱却をも告げるものだった。音楽にはメッセージ(哲学)がある!。
6位(曲名:リフレインが叫んでる 歌手名: 松任谷由実 )
理由 80年代のある一時期、ユーミンは女の子の何か輝かしい挑戦を象徴していたことは間違いない。それは村上龍が同時代に「すべての男は消耗品である」とわかりやすくまとめた標語で示される。あの時代の女の子たちはいまどうしてるのだろう?
7位(曲名: 恋のダイヤル6700 歌手名:フィンガー5)
理由 リードボーカルのアキラ君と僕は「幻のクラスメート」である。当時、大ヒットをとばしたこの曲を歌っていた、人気アイドルのアキラ君が、僕の小学校のクラスに編入してきた! ただし僕の転校した翌日に。アキラ君は僕が昨日までいた席に座ったのだ!
8位(曲名: Mr.サマータイム 歌手名: サーカス
理由 この曲を頻繁にきいていた高校生の夏休み。プールの塩素の匂いとキラキラ輝く飛沫。そして失われてしまった若さの残響。それらやがては喪失し、記憶の中でしかリフレインされないまぼろし=思い出をこの曲はいまでも喚起し続ける。
9位(曲名:モンローウォーク 歌手名:南佳孝 )
理由 70年代末から80年代前半、確実に女の子たちはそれ以前の世代に比べて飛躍的にキレイに魅力的な存在になった。この曲はそのときの日本の女の子たちの素晴らしさを、完全に男目線で伝えてくれる。ちなみにに90年代の僕のカラオケ定番(笑)。
10位(曲名: 美・サイレン 歌手名: 山口百恵
理由 山口百恵ほど同時代の若いおとこたちに「物語」を感じさせたアイドルはいない。ほぼ同世代の僕にとってはそれは強烈なセックスの匂い(妄想世界でのw)に近い。その禁断(?)の匂いの頂点がこの沈黙を利用した歌曲だ。いま聴いても素晴らしい挑発w。
11位(曲名: 木綿のハンカチーフ 歌手名: 大田裕美 )
理由 インフルエンザで高熱を出しながらも、新曲ででたばかりのドーナツ盤(懐かしい!)を何度も何度も繰り返し聴いていた。太田裕美的な母性からの別れこそ、僕らの世代の感性的なテイクオフを告げるのだが、その話はまた今度(笑)。
12位(曲名: 青い珊瑚礁 歌手名: 松田聖子)
理由 「あー! 私の恋は南の風ののって走るわ」と彼女が軽快に歌った1980年。時代は明らかに変わった。アイドルの概念を180度転換させ、それまでの単なる虚像だったアイドルが、人生のモデルとして機能した先駆者であり完成者。
13位(曲名: 涙の太陽 歌手名: 安西マリア
理由 アイドルという概念がまだ未成熟だった時代。彼女の立ち位置こそ、いまの日本のアイドルの先駆となる要素をすべて秘めていた。最近、お亡くなりになり追悼の意味をこめてそのことを記す。
14位(曲名: くちびるNetWork 歌手名: 岡田有希子
理由 彼女が自死した日。サン・ミュージックの本社ビルからわずかな距離で、その日も僕は働いていた。いまでも当日の混乱と衝撃は記憶している。その後、30年近く、彼女の代表曲をカバーする事務所の後継アイドル「さんみゅ〜」を熱烈に応援しているいまの自分がいるとは!
15位(曲名: Rydeen 歌手名: YMO
理由 最近、人気アイドルグループ E-girlsがまさかのカバー。そのポストゼロ年代風の再生に驚きつつも、やはり原曲の偉大さを想起する。調べてみるとRydeenは世界各国でカバー曲が多様なアレンジで出ている。しかし本当に新しいイメージに今でも富む。
16位(曲名:純愛 歌手名: 片平なぎさ )
理由 誰でも理由不用のアイドルがいるだろう。いまでは二時間ドラマの大女優のこのデビュー曲から続くほぼすべてのシングルを愛聴し、部屋にはポスターまであったw。本当に好きなアイドルだった。いつかお会いしたい!(笑)。
17位(曲名: Z伝説〜終わりなき革命 歌手名:ももいろクローバーZ
理由 ぼくにとって現在のアイドルを身近に体験することになったAKB48以上に大切な存在。女性アイドルグループ初の国立競技場コンサートも実現し、この先、彼女たちの冒険はどうなるのか? 21世紀型アイドルの現時点での極北。
18位(曲名:さらばシベリア鉄道 歌手名: 大瀧詠一
理由 最近、大瀧詠一の音楽論を研究したのだが、彼ほど深く日本の歌謡曲のルーツをきわめた音楽家はいないのではないか? 「日本的なるもの」を永遠に呪縛する「世界的なもの」。この曲も含めて、彼の音楽はすべてこの呪縛への挑戦だった。
19位(曲名: Loveマシーン 歌手名: モーニング娘。
理由 日本の「失われた20年」、それに負けないように鼓舞する女の子たちの野心と勇気と元気。
20位(曲名: 漂泊の旅路 歌手名: saya )
理由 最下位においたが、僕のいまの心の中ではきわめて重要な曲。「日本的なもの」を歌うとは何なのか? この問いへの野心的な挑戦が随所に感じられる奇跡的な名曲。多くの人に知ってほしい。
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