桂木隆夫編著『ハイエクを読む』

 太子堂正称さんから頂戴しました。ありがとうございます。ハイエクの著作が全集版などで日本語で簡単に読める環境がすすんでいく一方で、入門から本格的研究までを視座にいれた骨太の研究書が待望されていたと思う。本書はそのような最先端のハイエク研究だといえよう。太子堂さんは、ハイエクの全体像を解き明かす重要な論文「ハイエクの「法の支配」−自然権論と共和主義的性格」を寄稿している。

 個々人や集団の行動がなんらかの「ルール」によって秩序形成が可能になるというハイエクの基本的見解を、特にその「ルール」の階層構造、共和主義的要素などを解明することで、ハイエクの思想的系譜に新しい線を引いたというのが、太子堂論文の面白いところなのだと思います。

 本の末尾にはハイエクの主要著作の内容紹介、人物名紹介などがついていて、そこだけ読んでいてもハイエクの姿をいろいろ楽しめるようになっています。入門よりははるかに上のレベルだとは思いますが、現代的な問題の文脈(特に最近の議会政治の動向などにふれた論文もあり)の中でハイエクを再評価するにはとてもいい企画でしょう。

参照:太子堂さんとの対談
ハイエクの経済学からアーキテクチャの経済学へ

ハイエクを読む

ハイエクを読む