NHK解説委員ブログの太田氏真嗣氏の発言(http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/164816.html)が、NHKのメディア資源(公式ブログや放送など)の不公平な利用につながっている。
大田氏がブログでとりあげているのは、そもそも消費税についてのNHKの世論調査を解説するという趣旨のものだ。世論調査では、多くの国民が、1)景気の足をひっぱる、2)社会保障の拡充を求めていても消費税増税には否定的 ということがわかっている。
それに対して太田氏は、以下のように解説している。
Q、消費増税に対し、国民の視線は厳しいということですね?
A、そうですね。安倍総理は、予定通り引き上げを行うか、この秋に最終判断するとしています。消費税率の引き上げは、国民が求めている景気回復や社会保障制度の見直しのマイナス要因にはならない。むしろ、プラスになるんだという、説得力を持った答えを見つけ出すことができるのか。安倍総理大臣の宿題も、まだまだ、終わりが見えそうにありません。
これだと消費税増税は(太田氏の考える理由から)肯定するのが当然である、首相はそれを主張して国民を説得すべきだ、という積極的な政策提言といえる。NHKの解説委員がこのような国民的な意見対立がある問題で、特定の政策提言を行いつつ、世論調査をあたかも国民の意見が正しい方向とはずれたかのような印象を与える発言を、NHKの公式ブログを利用することで公表していいのだろうか?
従来から、NHKの経済関係の解説委員には、デフレの進行をやむをえない事態としたり、または日銀の積極的な金融緩和に批判的な人たちが多い印象がある。そのような偏った風土が、このような事実上の一方向への世論誘導にもつながりかねない自説の開陳につながっているとしたら、それは極めて不公平だ。
このNHKの公式ブログも番組も利用していることになり、少なくとも(他の意見をもつものたちにとって)フェアではない。消費税増税への反対や慎重論は、世論調査では多数意見だ。だがNHKでは、少数意見の太田氏たちに放送・メディア資源の利用をより多く割いていることにつながらないか? それは「解説」という趣旨からいっても問題であるし、また多数意見に、(なんの同意も規約もなく)不利なメディア資源を利用させることで不適切だ。
(注)日銀の金融緩和政策への否定論者&デフレ継続論者の代表としては、同じ解説委員のベテラン山田伸二氏がいる。他にも女性の解説委員(名前失念)も反リフレ論者である。この人数は(政権&日銀の政策に反対論者ばかりがしめていて)多すぎる。
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