「菅政権マイナス脱原発」=そのココロは「なにもできない」?

週刊文春』の後藤謙次氏と宮崎哲弥さんの対談「「3人目の総理」民主政権は立ち直れるのか」を読みました。主に宮崎さんの意見に賛成なので、宮崎さんの意見を簡単に箇条書きにしてご紹介。

1.野田政権の誕生は民主党アイデンティティの完全な剥落。霞が関の官僚総出で野田氏の支持。「代表選の“真の勝利者”は財務次官の勝栄二郎氏ですよ(笑)。政治主導を掲げる党としては本質的な矛盾を抱えているのが野田政権だと思う」。

2.後藤氏の野田政権は小渕政権と似ているという指摘への反論。小渕内閣は財政拡張主義。野田氏のは増税財政支出削減など、財務省の意向に沿った不人気政策で、小渕政策とは真逆。「むしろ現在のデフレを深刻化させてしまう可能性が高い」「それに9月の米FOMCの決定次第では、円高局面は60円台に突入する可能性すらある。これはキツいですよ。経済運営は薄氷を履むような状況が続くでしょう」。

3.野田氏は「政策通」といわれるが、マクロ経済政策について「定見」なく、そのために財務省依存に。

4.後藤氏は支持率が徐々に上がるという指摘に対して、宮崎さんは野田氏はそんなに支持率はあがらない。「初期値が20%台後半なんてことだったら、メニューとして示したすべての政策がスタックしてしまう。そうなれば、「菅政権マイナス脱原発」に終始しかない。最悪のシナリオですが」。

「菅政権マイナス脱原発」は、僕流に読み解くと、こと経済政策をみれば「注視」するタイプのもの=なにもしない、なにも決定できないままずるずるいくことである。特に現状で、党側にかなり政策決定の比重を移した構造だが、その党自身がおそらく政策決定をうまくやれない、すなわち何も決定できない可能性が大きい。

宮崎さんの診断を踏まえれば、僕や上念司さんが『震災恐慌!』であげた最悪シナリオ。つまりなにもしないでずるずる停滞が長引く(当然復興政策もずるずる低迷)蓋然性が高いだろう。

(注記)いま速報をみたら共同通信内閣支持率調査では60%超であった。となると4の状況から脱し、もうひとつの最悪シナリオ、本当に増税路線で突っ走る可能性もあるのかもしれない。しかし国民のこの支持率、正直、その支持を国民自体が責任をもっていっているのだろうか? などと大衆への自分でも無意味だなとは思うが、かような感想を抱かざるをないをえない。最近の政権発足の世論のパターンの繰り返し(当初、イメージの良さだけで高い支持→新聞テレビなどで些細な点でパッシング(=政策についてはほとんど関心埒外)→イメージだけなので支持率は急激悪化→当初支持していた層の新たないいイメージ探しの再開→以下、無限ループ状態)と同じであろう。

震災恐慌!?経済無策で恐慌がくる!

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