僕も参加しているメーリングリストで浜田宏一先生が、いまの日本での消費税問題についてつぶやかれたので、転載可ということですので以下に全文コピペします。
皆様、理論家のつぶやき。
不完全雇用の元ではケインズ的な分析が有効でしょう。
ただし潜在成長が達成されてしまうと、税の死重負担が生じますから、ハーバーガーの三角形の損失が生じ、これは税の増加分の自乗に比例します。
消費税でなくても、税は一般に[反]成長戦略なのです。財政事情のため、しかしsecond best として増税しなければならないときもあります。
いまの日本は当然、不完全雇用(今の失業率は4.1%で、ケインズ的な意味での失業が解消されるには少なくとも3%台前半まで低下する必要があります)ですから、ケインズ的な分析によれば、増税は有効需要を減少させ、不完全雇用を増加させてしまいます。
ちなみに内閣府の試算を単純に考えても0.9%ほどのGDPの引き下げ効果が発生してしまうのです。この数値の基礎となる内閣府モデル自体は、浜田先生の言及されてるケインズ的な枠組みとは必ずしもいえず、むしろその引き下げ効果はより深刻である、というのがケインズ的な立場に立つ人たちの共通理解でしょう。不完全雇用が継続する中での増税は間違いだと私は思います。不完全雇用解消後については、「財政事情」をどう判定するかで議論がわかれるのではないでしょうか。
- 作者: 浜田宏一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/12/19
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 52回
- この商品を含むブログ (48件) を見る