岩田規久男日本銀行副総裁候補の所信表明の内容を支持する

物価目標、2年で未達なら辞職=日銀法改正「必要」―岩田副総裁候補(時事通信社配信ニュースより)
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130305/dms1303051540014-n1.htm

衆院は5日午前、議院運営委員会を開き、政府が次期日銀副総裁候補として提示した岩田規久男学習院大教授と中曽宏日銀理事から所信を聴取した。岩田氏は2%の物価目標について、「遅くとも2年で達成できるし、しなくてはいけない」と強調。その上で、達成できない場合は「最高の責任の取り方は辞職することだ」と述べ、進退を懸けて金融緩和に取り組む決意を表明した。

 岩田先生は上記のように、2%の物価目標を遅くとも2年で達成できるとしたうえで、それができないときは辞職をすると明言した。これは物価目標の実現が完全に日本銀行にあることを明言したこと、その実現も長期国債の買取を増額するなどの手段で可能であること、アベノミクスの戦略も適切であること(政府と日銀が政策的に整合的であること)などの認識を背景にしている。官僚的な責任をぼかすあいまいな姿勢(今回の所信表明では中曽氏に典型的である)とは真逆である。

 私は「中央銀行が物価安定に全責任をもつ」という当たり前のことが放置されてきたことが、日本の大停滞の主因だと理解しているので、岩田先生の所信表明は全力で支持する。

 また安倍首相も「中央銀行が物価安定に全責任をもつ」ということに関しては同じ認識を示しているようであり、政府と(黒田ー岩田体制になった場合は)日銀との協調の観点からも重要だ。

 さらに岩田先生は「日銀法の改正が物価目標の実現を容易にする」と述べた。これが日銀法改正(物価目標の明記)も選択肢としてある、という今日の安倍首相の発言からも支持されている。政府と日銀が同じ方向を向いているのにもかかわらず、民主党の一部日銀出身議員(津村啓介氏)の発言として伝えられるように、この日銀法改正を問題視するのはまったくおかしなことである。なぜ日銀法に物価目標を導入することがおかしいのか、それを岩田先生が所信表明でいうことがなぜおかしいのか、その論理的な理由が皆目わからない。その合理的な説明を(出身母体への配慮という理由以外に)求められるのは津村氏自身ではないだろうか?

 民主党の一部議員からは、上記のように岩田先生の発言を問題視するむきもある一方で、なぜか中曽氏のように従来の日本銀行の政策への反省もろくになく、責任もあいまいな態度を問題視しない風潮があり、大きな問題だ。自分の政策責任を明言する人間を低評価し、その責任をあいまいにするものを高評価する、民主党やまたその周辺の野党勢力にはきわめて重大な反省を促したい。