飯田泰之『飯田のミクロ』

 かなり前に読み終わってたのですがブログでの紹介遅れました。経済学のわかりにくさは、その数学とかモデル構築の論理性にあるのではなく、経済モデルの前提になっている方法論的個人主義などの思想的な想定にある、という飯田さんの指摘は正しいと思います。僕もそれを説明したく、いまのAJERの経済思想史塾をやっているというのもありますが。

 本書はミクロ経済学(個々の主体の行動を分析する分野)のわかりやすい、先ほどの経済学が暗黙のうちに想定している前提を明らかにしながらステップを踏んで解説した入門書プラスアルファの本です。

 僕が学生のときは、わりとあったタイプの新書(文庫)で、かなりカチッとした内容のものです。これを読めば、例えばネットでもしばしば話題にあがる比較優位についても誤解は少なくなるでしょう。僕はいままで経済学をとくに専門としていない大学院生に教える機会がありましたが、これからはこの本を指定テキストにするのもいいかな、と思っています。

 しかし「飯田のミクロ』、当然にミクロ二巻目とかマクロとかでるんでしょうね。期待します。

飯田のミクロ 新しい経済学の教科書1 (光文社新書)

飯田のミクロ 新しい経済学の教科書1 (光文社新書)