竹井善昭(著)&内田和成(監修)『ジャパニーズ・スピリッツの開国力 だから、僕らはグローバル人材をめざす』

 竹井さんとは今年の初めにニコニコ生放送の社会的企業の討論番組で同席させていただきました。この企画、いまだになんで僕がよばれたか少し謎ですが。たぶんニコ生対応の経済学者が事実上、僕と飯田泰之さんぐらいしかいないからではと(笑…画面のコメント拾えて瞬発力で打ち返すスキル、というほどでもないものを発揮するGov2.0時代対応の経済学者です 嘘)。

 そんな縁でたぶん頂戴したのだと思います。ありがとうございます。本書の副題にあるグローバル人材とはなんだろうか、そこに僕は魅かれました。本書では後半にズバリ定義しています。それは国際社会におけるルール作りにタフに立ち向かえる人材だということです。

「ともかく日本は、国際社会におけるルール作りに弱い。コンセプトは作ることはできても、ルールづくりで負ける。略 日本国民自身も、いかにルール作りが国益を守り、日本経済の成長に寄与するかを理解していない。その典型例がTPPをめぐる議論だ。日本国内で意見が二分されちえるTPP参加問題だが、TPPに参加すると得か損かという議論しかない。TPPに参加することで、この仕組みをどのように利用しルール化すれば日本に有利か、どのようにすれば日本に有利なルールをつくれるのかという議論はまったくない。グローバル人材とは、他国や競合企業がどのような条件を突き付けてきても。それを逆手にとって自分たちの国や企業に有利な条件を突きつけることを考えることができる人間のことである」

ルールメイキング競争で闘える人材を育成することがこれからの日本の国際性と成長を担保するというのが竹井さんたちの主張だと思います。本書の終わりは現役学生や企業サイドを交えた座談会が収録されていて、読者として想定されている就職を念頭においている大学生たちに便利でしょう。

ジャパニーズ・スピリッツの開国力

ジャパニーズ・スピリッツの開国力