『ユーロマンガ』第七号

 一年ぶりに出た日本でのただひとつの本格的なフランスマンガ(BD:バンドデシネ)の雑誌『ユーロマンガ』。

 今回は先ごろ急逝したメビウスを追悼する特集が冒頭に。メビウスの代表作である「猫の目」がまず収録。この作品は大好き。余計なものをそぎ落としたメビウス最盛期のメビウスらしい作風。残酷さとちょっとした笑いの奇怪なブレンド。またメビウスを悼むマンガ、アニメの大御所たちの回顧も必読でしょう。メビウス論がこれに入ればいいんだけど、まあ、そこまでまだ日本のメビウス受容は本格化してないからいたしかたがないか(というかそれは本国でも同じでこれからですね。メビウスの本格的な研究って)。

 さて連載の『ラパス』は物語も完全に佳境。面白い。原作はすでに読み終わってるけどやはり日本語にしてもらうとサクサク読めるw。そして新連載の二作が毎回珍しくまたハイクオリティ。第一次世界大戦の航空戦記ものを主調音にした『エーデルワイスパイロット』、そしてゾンビ(化け物たち)の仲間に運悪くなり、お化け屋敷で働くはめになった男の不運?やらそのまわりの個性的おばけたちの物語『ゾンビレニアム』がいい味だしてる。『ゾンビレニアム』は日本でも評判よぶんじゃないだろうか。この作者の作風はいかにもフランスマンガ風なんだけど、ウイットに富んでて秀逸。

 しかし一年ぶりに再刊されてよかったよかった。

ユーロマンガ7号

ユーロマンガ7号