生活保護の急増の主因を、区分でいうところの「その他の世帯」、その内実は働ける世代の失業者であることにまず本書は注目している。また貧困ビジネスの実態、不正受給問題についての具体的な取材を積み重ねている。
本書の最後では鈴木亘氏が総括的な発言を行っていて、現状の生活保護制度が「貧困の罠」として機能しやすいこと、また生活保護受給との関連で最低賃金の引き下げを提案している。鈴木氏の発言は、現状(失業の増加による生活保護受給者の増加)を前提にした上で、現在の制度では受け皿として限界があること、ムチとアメを十分利用して、入りやすく出やすい生活保護制度を再設計するべきだという提案だろう。もちろんこの現状の前提を変更することが別途重要な問題であることはいうまでもないと思う。
ちなみにデフレ不況の持続と生活保護受給者の増加との関連は片岡剛士さんの資料、高橋洋一さんの論説を参照のこと。
高橋洋一「急にクローズアップされた生活保護問題デフレ脱却と「負の所得税」が合理的な解決策」http://diamond.jp/articles/-/19320/
片岡剛士資料http://p.news.nimg.jp/pdf/a/nw0_20120611_kataoka.pdf
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