いわゆるリフレ派の最新の経済論(ネット中心:2016年1月4日版)

 最近のリフレ派(リフレ派の基本的枠組みはここ参照)の最近の見解をまとめて紹介。

 あくまでも僕のチェックのために当該記事から引用してますので、そのほかの部分も重要です。ぜひタイトルや引用箇所だけではなくリンク先の本文を「あとで読む」ではなくいまお読みください(笑)。

片岡剛士
2015年の日本経済と経済政策を振り返る
http://synodos.jp/economy/15846

第二次安倍政権と民主党政権における完全失業率の改善要因はまったく異なる。図表4は完全失業率の差の要因分解を行い、第二次安倍政権と民主党政権とを比較したものだが、民主党政権時における完全失業率の改善(−1.1%pt)は、就業者数減少(+0.74%pt)、非労働力人口の増加(−1.62%)、15歳以上人口の減少(−0.22%pt)により生じたものである。いうなれば景気の悪化が進むことで就業者数が減り、非労働力人口が増えることで職を求める人々が労働市場から退出したことがこの時期の失業率改善の理由である。
一方で2012年12月以降の完全失業率の改善は、景気の改善が進むことで職を求める人々が新たに労働市場に参入することで非労働力人口が減り、就業者数が増えたことで生じているということだ。


中原伸之先生、浅田統一郎さん、野口旭さん、若田部昌澄さんが安倍首相と会見したロイターの記事は話題になりました。
http://jp.reuters.com/article/abe-idJPKBN0TG0NU20151127

それをきっかけにしてなのでしょうか、野口・浅田・若田部お三方のインタビューが後日掲載されてました。今後の安部政権のなんらかの動きの参照軸になるかもしれませんね。

ロイターの野口旭さんのインタビュー記事。
インタビュー:消費税10%、物価2%達成が必要条件=野口・専修大教授
http://jp.reuters.com/article/tax-idJPKBN0TT0EP20151210

野口教授は、消費低迷の原因を「20年間のデフレによる格差拡大」と分析。「非正規の若年層と資産を持たない高齢者の貧困化が進み、住民税を支払えない人口が2400万人と試算されている。アベノミクスによる2─3年の景気回復では解消できず、消費増税による消費下押しの影響が大きくなった」と指摘する。

2400万人の「住民税を支払えない人口」については、このエントリーを参照されたい。

ロイターの浅田統一郎さんのインタビュー記事。
インタビュー:GDP600兆達成へ消費増税の延期を=浅田教授
http://jp.reuters.com/article/gdp-idJPKBN0TY07O20151215

軽減税率は「セカンドベストの案。増税見送りが政治的に不可能な場合はあり得る。しかし、1兆円の軽減税率を実施しても、増税によるマイナスの影響はかなり残るだろう」と述べた。

軽減税率については、高橋洋一さんのこの論説を参照のこと。

 ロイターの若田部昌澄さんの記事は以下。
視点:消費増税の凍結と科学研究予算の倍増
http://reuters.com/article/view-masazumiwakatabe-idJPKBN0U30AN20151221

第3に、消費税を社会保障目的税とすることをやめるべきだ。逆進性の強い消費税は、そもそも社会保障の財源としてなじまない。社会保障費が消費税増税の人質となっている現状をやめるべきだ。そのためには社会保障と税の一体改革に関して野田民主党政権当時の12年6月に交わされた民主、自民、公明の「3党合意」の破棄が必要だろう。

若田部さんの論説は科学研究費についての提言も含む興味深いものである。この点についてはまた別途考えたい。

安達誠司さんと高橋洋一さんはコンスタントに連載を重ねている。高橋さんについては上記の軽減税率問題での指摘が光る。いずれエントリーをかえてまとめたい。安達さんは以下の論説が最新のもの。

FRB「利上げ」後のドル円レートはどう動くのか? 日米のマネタリーベース比率に注目して考えてみよう
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46933
ソロスチャートの解説など参考になる記述が多くあります。