高橋洋一『数学を知らずに経済を語るな!』

 これも高橋さんから頂戴しました。ありがとうございます。『日本経済の真相』と一緒に手元に置いておくと便利です。特にマクロ経済学の基礎がわかりやすく述べられていること、経済を見るうえでの考え方もわかることがこの本の特徴です。

 冒頭にあるように「復興増税で13兆円の増税必要」という新聞の記事やテレビの発言をみて、「(復興なんだから)しょうがないや」と単純に思い込む人、または「将来世代のために消費税増税必要」とか「日本の借金は1千兆円で財政危機である(だから増税しなうといけない)」というものを読んで、「しょうがないや」と思う人は、ぜひこの本を読んで単純頭脳を改めた方がいいでしょう。

 さらに「景気対策では財政政策(ケインズ政策、公共事業など)があたりまえ」と思う人も、本書の90頁にかかれたマンデル・フレミング理論の図表化は実にその種の思い込みを破壊する上でも重要でしょう。正解は財政と金融のポリシーミックスで、いまの日本だと特に金融緩和が何もしていないのに等しいので、超がつくほど緩和が必要なことがわかるでしょう。そうしないと財政政策の短期的な雇用増加効果も吹き飛んでしまうのです。

 本書の文章でもよくまとめられていて。

1 公共投資のため国債を発行して市中からマネーを集める(=市中のマネーを引き上げる金融引き締めの効果9
2 市中のマネーが以前よりも減って相対的に価値が上がる
3 金利が上がるので、投資家によって円が買われる
4 円高になる
5 輸出産品の価格が高くなるため、輸出産業が打撃を受ける
6 日本は輸出国家なので、日本経済全体が悪化する

これをイラスト一枚にしているのがなんともいい感じです。典型的な人文系の人を対話の相手にしたことも本書のいいところでしょう。

数学を知らずに経済を語るな!

数学を知らずに経済を語るな!