川本耕次『ポルノ雑誌の昭和史』

 編集部から頂戴しました。ありがとうございます。ところでポルノ雑誌といえば、やはり僕が編集者時代に席を隣にした高齢編集者さんが、ポルノ雑誌の編集長だったことを思い出す。彼の机の中にはそのときの記念だか、たまたま残存したかのいろんな写真やフイルムが転がっていた。同じくらいSFとか幻想文学の資料もありそれはよく貸してもらったものだ。それに彼のところにはときたま昔のモデルのおばさん?たちが訪ねてきたりもしていた。

 本書は日本の埋もれた歴史の証言としては一級品のものだろう。特に最後の方のタイにいって、そこの少数民族の少女たちから「世界で最も有名な“日本人”のロリコンアイドル」が生まれるくだりは、一種の「(地域)開発経済モデル」めいた歴史的な事実としても妙な迫力がある。そして本書を通じてわかるのは、確かにゲリラ的な業界だし、胡散臭さ充満なのだが、それでも多くの有能無能?の人材が大量に投入されてきたこともわかる。僕のその隣に座ってた元ポルノ雑誌の老編集者もむかし、いまでもある有名な文学賞の受賞者のひとりだった。

ポルノ雑誌の昭和史 (ちくま新書)

ポルノ雑誌の昭和史 (ちくま新書)