イワタ式景気予測法の適用(日本経済先行き不透明)

 景気動向指数が改訂され、その一致指数が改訂前の状況(震災前の水準で現状戻った)から、改訂の状況(震災前の水準を大きく下回る)ということが、判明して、現状の景気動向が厳しいものである可能性が高まった。

 さてこの改訂値を利用して、これからの日本経済の景気動向を予測してみよう。このブログでも何回かとりあげたが、岩田規久男先生が利用している景気予測法を用いたい。

 内閣府がホームページ上で公表しているコンポジット・インデックス(CI)という景気動向指数がある。このCIには景気の動きに先行すると考えられる先行系列、景気の動きと一致する一致系列、さらに景気の動きに遅れて反応する遅行系列がある。

 CIは景気の強弱を定量的に計測しようというもので、いわば景気の勢い(景気拡張や景気後退の度合い)を伝えるもの。例えば今後、世界不況がどのくらい日本経済を悪化させるのか、その度合いを予測するのに使える。

 岩田先生は、「イワタ流景気動向指数の見方」を披露されていて、このCIの先行系列の6ヶ月前・対比年率を景気予測で重視している。 これはエコノミスト白川浩道氏(他にも確か嶋中氏とか僕の周囲でも何人か)が景気予測として重視している手法でもある。もちろん僕も。

 さて今回の改定値をみておく。左が改訂前、右が改訂値

2010
1月 96.3 88.4
2月 98.2 88.7
3月 101.6 91.5
4月 101.6 92.6
5月 99.7 91.2
6月 99.5 91.4
7月 99.4 91.1
8月 99.2 91.1
9月 98.2 90.4
10月 97.1 89.8
11月 99.5 91.7
12月 100.1 92.6
2011
1月 101.0 93.8
2月 103.2 95.6
3月 99.5 92.6
4月 96.3 90.3
5月 99.3 91.6
6月 102.6 93.2
7月 104.6 94.8
8月 103.8 93.3

 このイワタ流の景気予測を用いると、、11年8月のCI先行指数は93.3で、その半年前の11年2月は95.6でした。したがってイワタ流(CIの先行系列の6ヶ月前・対比年率)ではマイナス2.3となる。

 これは同種の作業を繰り返せばわかるが、震災直後の落ち込みを緩やかに脱してきた経済が、今後再び後退する可能性がましてきたことを「予測」している。

 この減速予測は重要視する必要があるだろう。なぜなら8月よりも現時点の方がより経済予測を行えば不透明な要因が目白押しだからだ、再加速している円高、国際環境の厳しさ、なにもしない日本銀行増税だけしか関心のない政府。

景気ってなんだろう (ちくまプリマー新書)

景気ってなんだろう (ちくまプリマー新書)