今日から全国で発売されている、私も監修に加わってる「経済学の偉大な思想家たち」シリーズの第一弾『グンナー・ミュルダール ある知識人の生涯』(ウィリアム・W・バーバー著)の訳者である藤田菜々子さんが、最近の『経済セミナー』の人気連載に登場。同じ分野の研究者に対してこんなこと言うとまずい気がするけど 笑 本当に美しい方です。しかもインタビューを読めばわかるように、ハードな社会問題を考えてる硬派であり、また1000本余の論文と幅広い活動で国際的にもなかなか全貌を把握できなかったミュルダールの研究者として世界でも屈指の貢献をなしています。
インタビューの中ミュルダールの面白さについて以下のように書いています。
「ミュルダールは、率直で、強烈な個性の持ち主です。行動範囲が旺盛で、多彩な業績があります。しかも経済学だけに限らず、差別問題などの社会調査や政治活動にも取り組んでいて、視野と行動力は国境を越える広さですし、先駆的な見方をもっています。
ミュルダールの基調となるメッセージは、「歴史は人間がつくっていくのだ」というもので、この前向きさは魅力的ですね。経済学者の役割についてもはっきり言及していて、「経済学者というのは、未来の導き手にならないといけない」といった、少しおせっかいともいえる態度が独特です」
僕の研究範囲の日本経済思想史からいうとミュルダールの日本への影響は、日本の国民所得分析や社会保障論に多大な貢献をした山田雄三との関連でみてしまうけれども、今回、バーバーの本を藤田さんや若田部昌澄さんたちとやっていて、いま藤田さんの発言から引用したその広大で野心的な問題意識に少なからず驚いたものです。