荻上チキ『セックスメディア30年史』

 光文社新書と同じくなぜかこのちくま新書も知ってる編集者さんの担当。両方ともさすがに目のつけどころがいい。もちろん荻上さんのポテンシャルがここでも全開です。これも贅言無用で読めばわかるけどとっても面白い。そこが重要。

 やはりここ数年の不景気の深まりで、風俗もかなり地盤沈下しているのではないか、という気がしてます。荻上さんの本では風俗産業へのマクロ経済との関連もきちんと整理されていて、飯田泰之さんとの『SPA!』誌上でのフィールドワークが活かされている印象です。

 個人的には経済学の観点からはやはり風俗嬢の雇用形態やそのサービスが、どのように経済状況とともに変化するのか、ということに魅かれはするのですが、他方で、雑誌の変遷をカバー写真でわかりやすくしてくれると、やはりエロの進化は着実にあるんだなあ、と感慨を深めます。『URECCO』とか『オレンジ通信』とかそんなに変化したんだあ、と驚きます。

 全部を通読はしてないのですが、これは一種の辞典的な使い方もあるかな、と思っていて、その充実した通史の記述はありがたいものに今後なると思います。

セックスメディア30年史欲望の革命児たち (ちくま新書)

セックスメディア30年史欲望の革命児たち (ちくま新書)