昭和恐慌研究会ブックリスト2009前半

 昭和恐慌研究会というよりもすでに平成恐慌研究会に名称変更した方がいいような気がする。さて『昭和恐慌の研究』のメンバー「昭和恐慌研究会」の面々の今年になってからの書籍ベースでの本を紹介。学生のみなさんをはじめ、夏休み後半の読書にどうでしょうか?

1 岩田規久男日本銀行は信用できるか』

 岩田先生の新作であり、入魂の日本銀行論。日本銀行の組織、政策などを批判的かつ包括的にとりあげたもの。後で別エントリーで内容紹介予定

日本銀行は信用できるか (講談社現代新書)

日本銀行は信用できるか (講談社現代新書)

2 若田部昌澄『危機の経済政策』

 若田部さんの久しぶりの単著での新作。30年代の世界恐慌、戦後のインフレ不況、日本の大停滞、そして今回の経済危機までの4つの危機の失敗から学ぶべきことを思想と政策とのからみから明晰に分析

危機の経済政策―なぜ起きたのか、何を学ぶのか

危機の経済政策―なぜ起きたのか、何を学ぶのか

3 安達誠司『恐慌脱出』

 世界同時不況が今後も深刻化する可能性を克明に描く。大不況の恐ろしさは、単に底打ちが速いか遅いかではない、むしろ不況が長期化することにある、と喝破。政権交代がどのような経済政策の転換をもたらすかで、長期大停滞に陥るかを示唆。

恐慌脱出―危機克服は歴史に学べ

恐慌脱出―危機克服は歴史に学べ

4 飯田泰之他『経済成長って何で必要なんだろう?』

 経済成長が日本社会にもたらす恩恵をそのマイナス面も踏まえて丁寧に論じた対談集。各論者との違いよりも共通点がわかるという有意義な仕掛けになっている。

経済成長って何で必要なんだろう? (SYNODOS READINGS)

経済成長って何で必要なんだろう? (SYNODOS READINGS)

5 飯田泰之他『日本を変える「知」』

 上記の本の先駆をなす対談集。

日本を変える「知」 (SYNODOS READINGS)

日本を変える「知」 (SYNODOS READINGS)

6 岩田規久男金融危機の経済学』

 サブプライム危機がなぜ起こったのか? そのメカニズムと金融危機を防止する規制の在り方などを丁寧に論じた著書

金融危機の経済学

金融危機の経済学

7 岩田規久男『世界同時不況』

 上記の岩田先生の二作と補いあう本。本書はサブプライム危機がなぜ世界同時不況に至ったのか、なぜ日本が最もひどい不況なのか、をその処方箋を含めて解明

世界同時不況 (ちくま新書)

世界同時不況 (ちくま新書)

8 原田泰他『世界経済同時危機』

 日本だけではなく中国、米国、ユーロ圏、イギリス、新興国経済などの世界同時不況における状況と政策対応をデータをもとに丁寧に解説

世界経済同時危機―グローバル不況の実態と行方

世界経済同時危機―グローバル不況の実態と行方

9 飯田泰之他『脱貧困の経済学』

 未入手だが面白い組み合わせの興味ある書籍

脱貧困の経済学-日本はまだ変えられる

脱貧困の経済学-日本はまだ変えられる

10 中村宗悦他『日本経済史1600-2000 歴史で読み解く現代』

 経済史家としての中村さんたちの手堅い歴史分析の教科書。

日本経済史1600‐2000―歴史に読む現代

日本経済史1600‐2000―歴史に読む現代

11 田中『雇用大崩壊』

 雇用問題を中心に日本の二段階不況の与える影響を解説したもの

雇用大崩壊―失業率10%時代の到来 (生活人新書)

雇用大崩壊―失業率10%時代の到来 (生活人新書)

12 高橋洋一他『百年に一度の経済危機から日本を救う経済会議』

 地方分権についてなど僕には異論を持ちつつも面白い本。選挙が近いいまこそ再読すべき本

百年に一度の危機から日本経済を救う会議

百年に一度の危機から日本経済を救う会議

13 田中他『経済危機100年に一度の「大嘘」』

 いろんな論者のムック本だが、最新の世界経済危機の展望と超簡単な解説をいくつも収録。僕はアメリカの経済政策について分析

経済危機「100年に一度」の大嘘 CONUNDRUM 2009 Summer (講談社BIZ)

経済危機「100年に一度」の大嘘 CONUNDRUM 2009 Summer (講談社BIZ)

14 岩田規久男『国際金融入門』

 10数年ぶりの全面改定。最近の国際的な経済危機を話題の中心に、国際金融の仕組みとその理論的解説、歴史的背景などを豊富な事例を交えて明晰に解説。国際金融の入門書としては最新でなおかつベストの本。新書でこの濃い内容こそ昔の岩波レーベル

国際金融入門 (岩波新書)

国際金融入門 (岩波新書)

その他 竹内薫『バカヤロー経済学』