『Comic リュウ』の付録の小冊子。今敏のマンガ『セラフィム 2億6661万3336の翼』からの抜粋、筒井康隆氏との対談、氷川竜介氏の評論を収録しているなかなかよくできた小冊子で資料的な価値は大きい。
いままで今敏という存在ではなく、『パプリカ』や『千年女優』という作品ベースでしか考えていなかったのだが、id:ITOKさんの示唆で、今敏のアニメ、マンガを連なるものとして最近観賞している。この付録と前後して、同じ今敏のマンガである『海帰線』も読んでみた。昔、読んだことがあるのかしれない。この『海帰線』にくらべると『セラフィム』の方が格段に画面の密度や緊張感とでもいったものが充実している。まったく別人の作品とでもいうような風情すらある。後者の方がアニメの経験が反映されているだろうから、その貢献なのだろうか? ここらへんはよく考えてみたい。
追悼Bookでの氷川竜介氏の評論は、今敏のアニメの虚構と現実の関係を、アニメ本来の表現の中でどのように構築していったかを簡明に説明していてとても勉強になった。アニメ評論は、最近はじめて、宮崎駿氏の『耳をすませば』について書き、『借りぐらしのアリエッティ』というジブリ作品でも書いたが、とても難しい作業だと思う。とくにマンガとアニメをどう表現レベルで考えるか、その論点を考えるときに、今作品やこの氷川評論などはとても参考になるように思える。
月刊 COMIC (コミック) リュウ 2010年 12月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/10/19
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- 作者: 今敏
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