Twitterで忘れないうちに、岡田さんの読書リストを覚えてる範囲で書きとめたけど、これはそれをまとめたもの。日本のリフレ派の著作は基本的に省略。
小室直樹『危機の構造』(かなり影響うけたといってた)。
アンドレスキー『社会科学の神話』(これでその影響を覆した)。
http://www.ichigobbs.org/cgi/15bbs/economy/0563/ より
21: ドラエモン 2002/07/10(Wed) 09:49
>>18「社会科学の神話」は、経済学やめちゃうリスク(w)より、他の分野の社会科学研究者
に、遥かに破壊的な効果をもっているんではないの?この本が出版されたとき、日経の書
評欄に西部氏が「これをいっちゃーおしめーよ」と書いてた。レヴィ・ストロースの研究
が、ある時期から曲がり始め、構造主義がトンデモに転落してゆく軌跡が大笑いだったね。
まあ、黒木さんの大好きなソーカル本と同じ系統に属する本だ。ただ、ソーカルは自然科
学の研究者だったから比較的禁欲的で、明示的にはトンデモ社会科学の「形式的側面」だ
けを批判したわけだが、アンドレスキーは自分が社会学者だから、社会学周辺に関しては
内容に踏み込んで破壊的な爆撃を繰り返しているのが違いだけど。
レイヨンフーブッド『ケインジアンの経済学とケインズの経済学』
マッカラム『International Monetary Economics』(早稲田の飲み屋で岡田さんがこの本をとりだして嬉しそうに「これになんでも書いてある」といったのを思い出す。姉妹編の『マクロ金融経済分析』も必読。やがて浜田宏一・岡田靖論文の基礎素材に)。
テミン『大恐慌の教訓』
サージェント『合理的期待とインフレーション』(テミンとこの本から「政策レジーム転換」の発想を得る。ちなみに前者は僕もたぶん20回は読んだ。)
マッキノン&大野『ドルと円』、円高シンドロームの着想。ただし岡田さんはただの受け売りではなく、そこに日銀のデフレレジーム(デフレ含む極めて低い定常インフレ経路の採用)をかませることで、より日本の政策論議に貢献。
Jerome Adda Russell W. CooperのDynamic Economics: Quantitative Methods and Applications
サットンの『経済の法則とは何か』
ロバート・ゴードン『現代マクロエコノミックス』(メールマガジン『日本国の研究』のブックガイドで)
以下はその引用
経済学無用論を撃破するために学ぶべきもの
80年代までは、日本でマクロ経済学の勉強をするのはある意味で苦痛に充ち
たものであった。なぜなら、明らかに経済学の原理を理解しているとは思われ
ない官僚や政治家の指導の下で日本経済は世界で最も目覚ましい成果を上げつ
づけていたからである。経済学を勉強したのは国家公務員試験の受験参考書だ
けと豪語するような、いわゆる実務家達から「要するに、経済学は学者の趣味
に過ぎず、現実とは関係ない」と切って捨てられても、なかなか反論できない
というのが正直な感じだったのだ。ところが、90年代も後半に入ると情勢は急転する。日本経済のパフォーマン
スは先進諸国で文字通り最低に落ちぶれ、かつて世界を圧するのではと恐れら
れた日本の金融機関は駄目なビジネスの典型と酷評され、大銀行の倒産がつづ
き、さらにかつてアメリカ人を「日本人に説教されるとは……」と嘆かせた財
政赤字問題は日本で爆発的に拡大してしまったのだ。挙げ句の果てに、70年前
の世界大恐慌期を最後に完全に克服したと思われたデフレーションまでが始ま
り、いまや日本経済は「経済病理のショーケース」のごとき惨状を呈している。本書は、アメリカ経済が「ニューエコノミー好況」を謳歌し始める直前の93
年に出版されたものだ。その意味では最先端の書とはいえない。しかし、それ
ゆえに当時のアメリカ人が直面していた経済的な困難(6つの謎)に、いかに
して経済学が答えるのかという明確な方針にしたがって書かれているため、経
済学の有用性を徹底的に例示してくれる。単に最先端の知識を吸収することよ
りも、一流の経済学者が、現実経済と格闘し、その成果を初学者に伝えようと
努力した結果を読み進めば、現在の日本の経済的な困難に対して、論理と実証
を武器に立ち向かおうという勇気を得ることができるだろう。
森嶋通夫『『資本主義経済の変動理論――循環と進歩の経済学』
森嶋通夫『近代社会の経済理論』
参照)田中秀臣「岡田靖=ドラエモンの経済学」http://bisista.blogto.jp/archives/1295857.html