『バットマン:キリングジョーク』(完全版)

 御本頂戴しました。ありがとうございます。アラン・ムーアの数多くある短編の中でも最も完成度の高い名作が、作画を担当したブライアン・ボランド自身の彩色や直しを経て「完全版」となって復刊です。以前出ていた日本語版を研究室に置いてきたので細部の比較ができないのですが、印象的には色遣いだけでこうも現代風に仕上がるのか、と感心します。

 前作の方はのっぺりとした色彩なのですが、今回の完全版の方は立体ぽく見えてよりジョーカーの生々しさと物悲しさを演出することに成功しているでしょう。今回の完全版は『キリングジョーク』の収録にだけ絞った内容になっています。前作の方はアラン・ムーアのいくつかの短編を収録したものですが、古書店ではすでに1万円をかなり上回って売買されています。

 ところで中に入っているチラシをみて喜んだのですが、このブログでも紹介したことがある『アンブレラ・アカデミー』の翻訳が春には出るみたいでこれも期待が大きいですね。去年はアラン・ムーアが外国コミックとしてはかなりなブームを起こしたと思いますが、これを機会にいろいろなアメコミを読んでみたいですね。

 一昨日読んだのですが、マーク・ウェイドとピーター・クラウスの『Irredeemable』の第1巻(2009年)は、いわばスーパーマンのような存在が完全に残虐な悪そのものになった世界を描いていて、設定自体はよくありがちなように思えるのですが、これが単純なプロットながらぐいぐい読者を引っ張る力を持っていて久しぶりにヒーロー物(正確にはアンチヒーローが主人公ですが)として面白く読めたものです。第2、第3巻が年内前半に出るようですね。それと『アンブレラ・アカデミー』の続編も実は積読のまま机の近くにあるのですが、これもそのうち読んでみたいと思います。

バットマン:キリングジョーク 完全版 (ShoPro books)

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Irredeemable: Volume 1

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