現代経済思想研究会のホームページhttp://econthought.net/で、堤未果氏の『貧困大国アメリカ』のコミック版が出ているのを知った。堤氏とは一度、テレビに出たときに宮崎哲弥さんと一緒に司会をされていて猫が好きだというので、なぜか僕は筆名で猫の本を書いているので秘蔵??の猫写真をお送りしたことがある(記憶が不正確だが本だったっけ?)。
確か僕がそのときにその番組で話題にしたのも雇用問題で、日本の雇用や経済格差のかなりの部分が景気の回復によって改善されることを中心に話した。もちろん堤さんはあまり納得しているように思えなかったのだが。まあ、経済観は違っても猫好きの輪でうまくまとまるのは人間の面白いところである(少し違うような気もするがまあいいw
あいかわらず脱線しまくりだが、このベストセラーのコミック版は、マンガを書いた松枝尚嗣氏の画の水準が高く非常に読みやすい。話の内容にあったシリアスなものになっているだろう。類似のテーマではすぐに僕はマイケル・ムーアの『シッコ』を想起する。特に第3章はテーマそのものが医療保険の不完全性という問題でかぶるし、第4章の医師の腐敗も通じているだろう。ただムーアの映画には笑いがあるのだが、本書はひたすらシビアな雰囲気で一貫している。そこが作品としての深みーあえて物語調にしたのにもかかわらず一種のエンタテイメントとしての要素が欠けているのが、もったいない気がする。
ところで昨日のBaumanの本もそうだが、マンガを利用して経済問題を扱う本が増えている。特に日本ではマルクス経済学関係を中心にして去年沢山の本がでた。まとまったレビューは赤間道夫さんが書いているので参照されたい(例えばこのエントリーなどhttp://d.hatena.ne.jp/akamac/20090602/1243950546)。
思うに一回、「コミックで経済問題」というテーマで研究会をもつのもいいかもしれない。
関連エントリー:http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20070908#p1
- 作者: 堤未果,松枝尚嗣
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