オフ会を公的な肩書に使うのか?

 フランスのアーティストのメビウス氏が講演会に来ることが日本のマンガ界の一部で話題になり、盛んに喧伝されている。しかし僕は前にも書きましたが、いくつか疑問を抱いていて、できるだけ離れてこの催しを見ていようと思うわけです。単純な疑問は、いままで(フランス語を読める読めないは個人の問題なので深く詮索しないでおけば)メビウスについてさほど研究してもいない人たちが(全員とはいいませんが)、今回の講演会でなぜか公的な支援(京都市からの便宜など)をうける形で出張っていることに少なからぬ違和感があるわけです。たとえば、今回はメビウスと日本のアーティストたちとの相互影響がひとつのテーマかと思いますが、日本ではじめてメビウスの媒体を通じた影響をややまとまって紹介したのは、このブログのここここの一連のエントリーがたぶん最初です。これ威張っているわけではなく、僕の抱いている驚きを共有してもらいたいがために書いているわけです。つまりその程度の作業もしてない人たちがなぜか出張っていること(公的支援をうけている=税金を使っていること)に疑問を抱かざるをえません。

 ところでうっかり見落としていて、さきほどきがつき驚いたのは、原正人氏が今回の公的なイベントhttp://www.kyotomm.jp/に、「(BD[ベーデー]研究会主宰者)」として司会をおやりになるということだ。司会は結構ですし、原氏はBDの研究実績もあるのでしょう。だがそもそも「BD[ベーデー]研究会」は、僕も参加したことがありますが、mixiのコミュニティ「BDについてもっと知りたい!」の一イベントにしかすぎないわけです(mixiみれる人はここ参照)。

 原さんご本人も「ショードヴァル」名義のmixi日記で書かれていますが(mixiみれる人はここをクリック)、上記コミュテイの「オフ会」である、と明記しています*1。そして僕だけではないはずですが、「研究会」というよりも同好の人たちが気楽に集まる会合程度、まさにオフ会が実態です。パーティをやる場合もあります。

 しかしこういう公的な催し(たとえば一例ですがこの種のイベントが「業績」として文科省の認定もうける可能性もあるわけです)で、そのような単なる「オフ会」の肩書を利用するのは、ちょっと僕には不誠実な対応に思えます。少なくとも第三者には、学会に準ずるような研究組織として、この「BD研究会」がみなされる可能性があります。しかし僕が知るかぎりそのような実態はないはずです。また原氏がこの「研究会」を代表して今回の催しに参加するというなんらかの意思統一を、このオフ会で決めた経緯もないのではないでしょうか? 第三者が誤解するような肩書の使用は避けるべきではないでしょうか?

 こういう行為は、少なくとも僕には「オフ会」と銘打った会合を不適切に個人利用しているように思えます。もし研究会の内実をなすことが目的であるならば、当初からそのように告知して、その努力をすべきだと思います。

ちなみに今回の件とリンクしているかしてないかの判断はみなさんに任せますが、最近の日本のマンガ批評界とアカデミズムの利用のあり方への批判は、『マンガ論争勃発2』の僕の発言を参照ください。

マンガ論争勃発2

マンガ論争勃発2

*1:mixi上のコミュニティ「BDについてもっと知りたい!」(http://mixi.jp/view_community.pl?id=424387)やそのオフ会「BD研究会」を通じて、BDの世界を開拓しています。」