昭和恐慌脱出の教訓をストレートに活かせ(岩田規久男教授インタビュー)

『世界同時不況』を書いた岩田規久男氏に聞く
http://www.toyokeizai.net/life/review/detail/AC/168407dcacd891023166ff1ddc1a8b9d/


 東洋経済オンラインでの岩田規久男先生のインタビューです。肝は、昭和恐慌期のときの不況脱出政策であった日本銀行国債の直接引き受けを、単なる参照ではなく、そのまま現代に適用すべし、ということです。

高橋財政の場合は、国債が民間に出ていかなくて日銀が買っておカネが政府預金となり、それを基に財政支出した。銀行にではなく非銀行部門に直接おカネが出て、効果は早い。現在の経済状況がここまでくると、同様に日銀の直接引き受けにしたらいいのではないか。

――法律上、国債の日銀引き受けはできないのでは。

 私もそう思っていたが、実は現行法でもできることを最近知った。確かにいまは財政法で日銀は直接に買ってはいけないとなっている。ところが財政法には国会の決議で日銀に対して国債を発行できるとある。そして日銀法にもそれを受けて直接引き受けていいと書いてある。つまり緊急事態だとして国会さえ決議すればいいのだ。法律改正しなくてもよく、苦肉の策の政府紙幣より早く実行できる。

――実際にはどのように実行するのですか。

 本年度の国債発行額は年間40兆円台になる。上限をその40兆円と決めてもいい。期待インフレ率は、物価連動債と普通の国債との利回り差でだいたいわかる。実際にはインフレ率はきわめて低い。それを参考にしながら毎月国債を買う、言葉を換えれば日銀が引き受ける。いまアメリカが月に4兆円ぐらい、イギリスが3兆円ぐらい、日銀はその間の額でいく。日銀には従来の国債オペもある。長期国債を直接引き受ける前提で、オペ額を算段する。さらに必要なら、社債やCPの購入も決めていけばいい。

非常に具体的な数字をあげながら解説されています。岩田先生の提案は、山形さんがあげている図表http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20081203/179030/graph1204-1.gifからもわかるような、日本銀行の現状の政策スタンスからの根本的な転換=レジーム転換を伴い、人々の期待の転換にも貢献することでしょう。


世界同時不況 (ちくま新書)

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