『小さな王子』とは、もちろんサン=テグジュペリのLe Petit Prince(星の王子さま、は日本の慣例)のこと。BD(フランス漫画)の研究会用につい買ってしまったのが、ヨアン・スファーによる最新の「星の王子さま」の漫画。これがかなりいい。まず星の王子さまがあんな奇怪な笑いをするとは! それだけで冒頭魅せられる。
サン=テグジュペリ自身を投影しているとしか思えない砂漠に不時着したパイロットの造形がかなりハードボイルド的というかアダルトな感じなのもいい。岩波の日本語訳だとこのパイロットはかなり若い印象に思えたけれども、この作品が公表された段階での作者の年齢はあまり僕と変わらないのでこのような中年の造形が似つかわしいのかもしれない。その中年の匂いが、作品のラストの孤影を際立たせている。
例えば、日本でも『星の王子さま』の漫画化はあって、僕が読んだのは、『漫画で蘇る星の王子さま』(PHP)。これだと王子さまの眼の大きさがだいぶ違うし、頭と体のバランスもだいぶ違う。やはり日本の方がなんとなく「かわいい」。それに日本の方はパイロットは20代か30代前半ぐらいに見えるけれども、フランスの方は上にも書いたが完全におっさんである。ここらへんの造形の違いが面白い。両方の星の王子様の違いは下に表紙を掲載したので比較してみてほしい。ね、なんとなくフランスの方は昔のちょい不良の石原裕次郎(太陽族、いや太陽の王子ってか?) 爆 ぽいでしょ? 日本の方は本当に子供って感じ。
たぶんこのBD版の星の王子さまを読んでる人は、現時点で日本に100名もいるのかあやしいけれども 笑 僕もそんなにフランス語ができるわけはないので、この機会に復習をかねて、いくつか星の王子様関連のフランス語のお勉強本を買ってみた。加藤恭子『星の王子さまをフランス語で読む」(ちくま学芸文庫)、加藤晴久注釈『自分で訳す星の王子さま』(三修社)、それに文法があやしくなっているので確認用に久松健一『ケータイ[万能]フランス語文法」(駿河台出版社)を買ってみた。久松本は、僕が昔、院試用に使ってた佐藤房吉の『詳解フランス文典』(駿河台出版社)とも相性がよさそう。まあ、「これはちょっと意味とれん」というときは、みなさんと同じように(邪推)、グーグル翻訳(笑)でだいたいの意味をとって居直るのですがw。
実はいま池池本をついに買ってしまったんだけど、ちょっと読んでて、「これは他の星の出来事を書いたもんじゃないだろうか?」と思ったので、このエントリーを書いてみたくなりました(あ、ちゃんとした批判的書評はそのうち書くかも)。

- 作者: サン=テグジュペリ,たまだまさお
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2009/03/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (2件) を見る