今後注目される21世紀の経済学者(英:エコノミスト誌より)

 読み落としていた面白い記事。『クーリエ・ジャポン』の山形さんの紹介で気がつく。

International bright young things
http://www.economist.com/finance/displaystory.cfm?story_id=12851150

日本語での紹介は以下のブログで書かれていますね。

http://blog.goo.ne.jp/kammy_january/e/abc1d4fca66fd819e4b4fd6093d6d53a
http://blog.goo.ne.jp/kammy_january/e/f79cb115fcf8a5415ab1467f4d0cd179

上記ブログで簡潔に説明されていますが、Ivan Werningの業績(だけというわけでもないですが)、やはり生まれてくる家族の性格や環境が、その子どもがどのような性向やその後の経済的環境に大きく影響しているようです。

 
 最近、見つけたのですが、大竹文雄さんのブログでも推奨されている不完全労働市場の基本テキストを書いた共著者のひとりJan C. van Ours の最新の論文(Children reading fiction books because they want to
)でも、OECD18カ国の15歳の人たちを対象とした調査で、少年の方が少女よりもコミックをよく読み、少女の方がフィックション(小説とか)をよく読んでいる。そしてコミックをよく読んでもそれはフィックションを読むことにはつながらないことが明らかにされています。僕はどうも異常値のようですが(笑)。


 さらに同研究は、読書を好む子どもを生み出す要因として、親の教育水準、家族構成、そして家にある本の数やテレビの台数に注目しています。そしてこの研究は、親の教育水準が高いほど読書好き、本が家に多いほど読書好き、テレビが少ないほど読書好きであり、政府の介入(例えば日本でいえば夏休みの読書感想文コンクールとか青少年のための読書推進政策みたいなもの)はほとんど意味をなさず、むしろ家族環境が重要であることを示唆しています。そして子どもの周りに本が多くあり、テレビの台数はせいぜい1台であることが読書好きな子どもが育つコツであるとしています*1


 上にも書きましたが、マンガで読書好きになる道がひらいた僕としては寂しい実証結果ですが(笑 先のIvan Werningの業績とも関連させると、今般の長期停滞が親の世代の困窮ばかりでなく、子どもの世代の困窮(読書水準の低下はその副次的産物)を生み出す可能性のひとつがわかるかと思います。つまりIvan Werningの業績ともリンクすると思いますが、適切なマクロ経済政策とそしてある種の再分配政策が世代にまたがる貧困効果を緩和することが示されているのかと思います。

*1:ただ注意すべきは、この研究では小説を多くよむ読む子どもが、必ずしも将来高い学歴、収入の多い職業に到達するかどうかまではわからないことですね