ちょっと必要あって読んでいるミクロ経済学の初級と中級レベルの教科書なんですが、僕は数理的な傾向のものよりもこういうシカゴ学派仕立というんでしょうか、実例に応用したものが好きですね。
Exchange and Production (Study Guide)
- 作者: Armen A. Alchain,William R. Allen
- 出版社/メーカー: Wadsworth Pub Co
- 発売日: 1983/06/01
- メディア: ペーパーバック
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Price Theory and Applications: Decisions, Markets, and Information
- 作者: Jack Hirshleifer,Amihai Glazer,David Hirshleifer
- 出版社/メーカー: Cambridge University Press
- 発売日: 2005/09/12
- メディア: ハードカバー
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これに影響を受けたのが、原田泰さんの『経済学で考える』(日本評論社)だそうです。その原田さんの本はいまから23年も前のものです。最近は、『ヤバい経済学』のブレイクで、実例に経済学の応用をするものはすべてレビットらの本の延長と考えられがちですが、実際にはレビットたちの方がシカゴ学派的な応用ミクロ経済学の流れにあるようで(本人たちが意識しているしてないは別にして)、この種の試みは昔から実はいろいろあるんですよね。
例えば原田さんの本の節題をあげてみると、「砂浜を二倍にする発明は無価値か」「ゴルフ場ではなぜ会員料をとられるのか」「日本の銀行はなぜ一等地にあるのか」「クジラ捕りは続けるべきではないのか」「バイキング料理は公平か」「犯罪者への賄賂は犯罪防止の近道ではないか」などいまでも十分ネタとしてつかえますね。一貫して人間の合理性からの考察が採用されています。
戦争においてすら人間の合理性を仮定することによって、有益な教訓が得られる。戦争の勃発に偶然的要素があるという指摘はむろん正しい。ヒトラーが狂気をもった人間であったこともたしかだろう。しかし、ヒトラーはオランダに侵入しなかった。そこには、合理的な「戦争の計算」が働いたに違いない。「戦争の計算」について考えることは、国土を蹂躙されないためにも有益であろう。もし、人間の合理性を仮定しなければ、事実から学ぶことはなにもできなくなる。