神宮山美佳先生と金本位制の足かせ


 いま出ている『週刊現代』で連載中の江川達也氏の「家庭教師 神宮山美佳」を立ち読み(以下の理由で即購入)して感動しました。さすが究極の家庭教師。ビシ(なぜか鞭の音)。


 物語中で神宮山先生から教育中の田中均が、一目惚れ実施中の相手、大谷美穂に「そもそも第二次世界大戦が始まった原因は、アメリカの金融政策の失敗でしょう」と語ると、大谷も「そうだよね。わたしもそう思うよ」と返す場面があります。


 コミックをまめに読んでるほうだとは思いますが、第二次世界大戦(以下の物語中の登場人物の発言からそれは大恐慌期にさかのぼること明白ですが)の原因として、金融政策の失敗に注目した漫画家とその作品は本編をもって最初かもしれません。

大谷ミポリンは田中の発言を引き継いで語り始めます。


「国際的な為替の安定を各国の国内の経済の安定より優先させて無理やり強制的に世界を糸で繋いでおいて、自分から大恐慌を起こす迷惑なアメリカのお陰で……糸で繋がった世界各国の経済は共倒れさせられたのよ。アメリカが無理に糸で繋げなければドイツもイタリアも日本もアメリカの巻き添えから逃げる事が出来たのに」


 アメリカの金融政策の失敗が、金本位制という足かせによって国際間を伝播するという、世界恐慌の国際学派の見解に基づいた(アメリカの政治的要因もにおわせる……この点は竹森俊平『世界デフレは三度来る』を参照)まっとうな意見だと思います。


 ここはひとつ神宮山先生にヴァーチャルリフレ政策教育プログラムを作成してもらう必要があるでしょうね。ビシ(またもや意味不明な鞭の音)


家庭教師 神宮山美佳(1) (KCデラックス)

家庭教師 神宮山美佳(1) (KCデラックス)