唐沢俊一『新・UFO入門』


 本当に入門だった(笑)。本の趣旨は古典のユングの『空飛ぶ円盤』(筑摩文庫)をわかりやすくした路線なのかも。ただUFO目撃者やUFO目撃期待者の心理によりそっていこうとする点は面白いのだけどダークサイドに落ちる危険性があまり感じられず、そこが本書にスリルをもたらさずに終わったのは惜しまれる。ところで「三島由紀夫もUFO小説を書いてた!」という節題は編集との共同作業だと思うけどそれが『美しい星』なのもちょっとがっくり。新ネタがあったらいいのに。ちなみに三島が小説の構想に非常に懲りつつも微妙にはずしてしまう点を見事に指摘しているのが、猪木武徳先生の『文芸にあらわれた日本の近代』。三島の『絹と明察』の取材の入れ込み具合とそれにマッチしない現実の出来ばえをするどく描いている。唐沢氏の『美しい星』解釈にもそういうミスマッチを三島の作品の中に発見してくれればそれだけでお替りできる本だったと思ふ。



 それと秀逸??なところをあえて探せば、麻生ローゼンメイデン閣下の国会発言の引用で、「守屋の顔からもなかなか想像できない云々」を紹介しているところ。この顔につきてるのかもね、この本の趣旨は。