片岡剛士「我が国の構造的・摩擦的失業率の水準はどの程度なのか?」(『税経通信』)

 いま店頭にでている『税経通信』4月号に掲載されている片岡さんの論説は、この問題についての原田さんの論説やオーカン法則に基づく推計の岡田靖さんたちの推計と同様に非常に参考になります。


 片岡さんの推計は、UV曲線に基づく推計でして、原田さんたちの論点を踏まえた上で、従来の『労働経済白書』での推計だと構造的・摩擦的失業率の値を実際よりも高めに判断する可能性が高いこと、さらに構造変化等を加味すると片岡さんの推計では構造的・摩擦的失業率の値は2%後半から3%の水準であることが示されています。言い方をわかりやすくすれば、金融政策などのマクロ経済政策による失業対策の余地はまだ十分にあること(現状では4%台の完全失業率なので)をこの論説は提示しているといえます。片岡さんの論説は、構造的・摩擦的失業についての見通しのいい展望や基本的知識(UV分析の基本)の紹介も兼ねていることも加えて初心者の方にも読みやすいので実に便利です。