地味だけどおススメ経済本


 年末の経済書・経営書ベストのお祭りからはたぶん無視されるだろうけれども(主義主張を超えて)これは外せない経済書をとりあえず書いておきたいと思います。専門性が高いのはご容赦ください。

まずはこれは外せません。

『デフレ下の賃金変動―名目賃金の下方硬直性と金融政策』
黒田祥子, 山本勲 東京大学出版会


デフレ下の賃金変動―名目賃金の下方硬直性と金融政策

デフレ下の賃金変動―名目賃金の下方硬直性と金融政策

 ネット上ではほとんど評価をききませんが、これは必読の文献でしょう。

続いて野尻武敏氏の『転換期の政治経済倫理序説―経済社会と自然法』(ミネルヴァ書房 )。この本の核心部分はトマス・アクィナスをめぐっての論述でしょう。多少時論的にもっていけば金利規制をめぐる論争の深層にもつながるところでしょう。野尻氏のトマス・アクィナス論は日本の学説研究の中では、福田徳三、上田辰之助五百旗頭真治郎らの研究と比較対象することでも輝きを増すことでしょう。