金子洋一『デフレ脱却戦記2 日銀貴族を討て!編 』

金子洋一さんの新刊で、今日コミケで販売されていたものを一足早くpdfで頂戴しました。ありがとうございます。とはいえあとでまた買いますw。やはり電子媒体よりも紙媒体で残しておきたいのですw

 

今回は消費増税に関する二つの政府のウソを明らかにすることから本書は始まっています。簡単にいうと低所得者層には、社会保障の拡充という点でも恩恵に乏しく(ほとんどの増税分は既存の国債調達分を増税負担でかえるだけ)、また景気の悪化や家計の所得制約を厳しくすることでむしろ低所得者に直撃、という点を念入りに、霞が関の官僚文学にだまされないように解説していきます。

 

それともし金子さんが政党の党首だったら主張するであろうリフレ政策の具体的な提案が書かれています。中でも「

「生活改革ファンド」(仮称)を設置

総額 50 兆円以上のファンドを創設。教育・子育ての無償化をはじ
め、次世代エネルギー開発、現状でも混雑・不足しているインフラ整
備を大胆拡充するなど、わが国経済の将来の成長を促すための投資と
もいうべき政府支出を増やします。
教育や長期的な基礎研究、技術革新を促すといったことは、長い眼
で見れば必要なことですが、短期的に採算が合わないため民間にはリ
スクが大きすぎます。民間がやれないからこそ政府の出番です。
このファンドは現在の歴史的な低金利を利用し、超長期国債を原資
の中心とした国債の追加発行でまかないます。 」

 

という主張は英国労働党の政策にならっていて注目できます。公的ファンドをもうけると、公的ファンドが長期持続するという期待を人々がもてることで、財政政策の持続的な効果もありえます。ここらへんはガバナンスの問題なども具体的に考えてみると面白いと思います。僕があまりに公共事業政策至上主義者にげんなりして、いやいや提唱したw「国土強靭省」案と同じ政策効果を発揮できるというわけです。財政政策は短期的な効果だけではなく、期待に作用することでそらなりの長期的な効果をもたらすことができるというわけです。理論的には、ウィリアムソンの『マクロ経済学』を参照ください。

 

後半は金子さんが国会議員だったときの格闘の記録なども詳細に掲載されていて読者が実際に政府の政策と対峙するときの参考になるでしょう。

 

ぜひお手元におくべき著作です。アマゾンでも手に入るのでぜひ

 

 

デフレ脱却戦記2:日銀貴族を討て!編

デフレ脱却戦記2:日銀貴族を討て!編

 

 

 

ウィリアムソン マクロ経済学〈2〉応用篇

ウィリアムソン マクロ経済学〈2〉応用篇