デマ「「エンゲル係数の上昇=景気回復の証拠」と主張する安倍晋三」を流布して経済政策論議を混乱させたい人たち

 なんでも安倍首相が国会でエンゲル係数についての答弁をして、「「エンゲル係数の上昇=景気回復の証拠」と主張する安倍晋三」ということになっているらしい。本当かどうかすでに検証している人たちがいるが、簡単にいうとデマである。

この動画の3分から3分55秒までが該当する部分である。

これを文字起こしした人がいるhttps://togetter.com/li/1195312。ありがたいことです。
そのまま以下にもコピペ。

「またこのエンゲル係数についてでありますが
二人以上の世帯のエンゲル係数は2005年を底に上昇傾向にありますが
これは物価変動のほか食生活や生活スタイルの変化が含まれているものとおもいます
いずれにせよアベノミクスを通じてですね経済の好循環を加速させていきたいと思っておりますし
やはりいちばん大切なことはちゃんと働く場があってみんなが仕事に移るという状況ではないかとわけでありますが
昨日発表されたました有効求人倍率を見ますと1.59でございました
43年と11か月ぶりの高い水準となっておりますし
正規の雇用については1.07となっておりましてこれは統計開始以来最高の数値となっていると承知をしております」

さてエンゲル係数上昇トレンドにあるのは、すでに論説で書いたし、このエンゲル係数だけに注目して安倍政権の下でのほうが貧困化したとか、あるいは政策が失敗したというのは間違えも甚だしいことを書いた。簡単にいうと「貧困化」と「エンゲル係数の上昇」は対応していない。ここが重要。そして日本が安倍政権下で「貧困化」していたのかどうかは各種指標からみれば現状では間違い。

エンゲル係数、29年ぶり高水準が裏付ける「ニッポン貧困化」のウソ (田中秀臣) - オピニオンサイトiRONNA http://ironna.jp/article/6461

さて以上の論説以外に、もしどうしても「エンゲル係数の上昇」だけを阻止したいという人がいるならば、消費減税を勧める。エンゲル係数が政策を評価する望ましい指標だとは上記の論説でも書いたがまったく思わないが、消費減税という「手段」だけには賛同したい 笑。

ただし「「「エンゲル係数の上昇=景気回復の証拠」と主張する安倍晋三」などとデマを飛ばす人にはそのような消費減税を主張する人物はいないようだ。あくまでも安倍政権をデマでもなんでも利用して批判したいだけなんだろう。悪質だな、と思う。

 デマを前提にしてエンゲル係数の上昇をさも政策の失敗を表すものといっている匿名系の人たちにはいささかげんなりする。

 論説の方でも書いたが、デマを利用したり、筋悪の指標を使うのではなく、端的に消費の低迷は安倍政権の消費増税が原因であり(エンゲル係数上昇もそれが原因のひとつだが、エンゲル係数を持ち出して議論すると、消費低迷をストレートに評価することが難しい。なぜなら違う要因=高齢化、ライフスタイルの変化等が混ざるからだ)、その間違いを2019年に採用するなと批判するべきである。また一層の金融緩和政策と財政緊縮の放棄との合わせ技をするべきである。だが、上記の国会で質問している小川議員も含めて野党にはその認識はない。

ちなみに最近のエンゲル係数の分析については以下の各論説も参照されたい。

家計調査結果からみた近年のエンゲル係数の上昇要因について
http://kakeiken.org/journal/jjrhe/113/113_09.pdf
食料への支出の変化を見る
http://www.stat.go.jp/info/today/108.htm
エンゲル係数の上昇を考える
http://www.nli-research.co.jp/files/topics/55609_ext_18_0.pdf